輸送費>売却費は廃棄物か(大阪府Q&Aの注釈)
大阪府が公開している「よくあるご質問」の注釈をします。
Q16 輸送費が売却代金を上回る場合は廃棄物になるか?
A16
売却代金と運送費を相殺すると排出事業者側に経済的損失がある場合(「運賃による逆有償」とか「手元マイナス」と言われます。)は廃棄物に該当し、受入側事業者における再生利用後に客観的に有償売却できる性状となった時点ではじめて廃棄物を「卒業」するものであり、それまでは再生利用施設における保管や処理を含めて廃棄物として規制され、廃棄物処理法の規定が適用されます。受入事業者側で本来は処理費が必要であるにもかかわらず、売却代金を支払う形にし、その分を運搬費に上乗せするような有償譲渡を偽装した脱法的な行為が認められるものではありません。
なお、国の規制改革の一環として、再生利用又は電気、熱若しくはガスのエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者へ引渡す場合においては、少なくとも、再生利用又はエネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、以下の3点に留意し、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等の判断要素を総合的に勘案して(A15参照)、廃棄物に該当しないと判断しても差し支えないとする考え方が国から示されています。
(1) 再生利用にあっては、再生利用をするために有償で譲り受ける者による当該再生利用が製造事業として確立・継続しており、売却実績がある製品の原材料の一部として利用するものであること。
(2) エネルギー源としての利用にあっては、エネルギー源として利用するために有償で譲り受ける者による当該利用が、発電事業、熱供給事業又はガス供給事業として確立・継続しており、売却実績がある電気、熱又はガスのエネルギー源の一部として利用するものであること。
(3) 再生利用又はエネルギー源として利用するための技術を有する者が限られている、又は事業活動全体としては系列会社との取引を行うことが利益となる等の理由により遠隔地に輸送する等、譲渡先の選定に合理的な理由が認められること。
また、廃棄物該当性の判断については、法の規制の対象となる行為ごとに、その着手時点における客観的状況から、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案してする必要があるものであり、引渡し側から譲り受ける者までの間の収集運搬についても同様の総合的判断が必要とされています。
(H25.3.29環境省通知『「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」(平成24年4月3日閣議決定)において平成24年度に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について』及びH17.7.4環境省通知(H25.6.28改正)「規制改革通知に関するQ&A集」)
※注釈
後段は有名な規制改革通知の抜粋なので、重要な内容ではありますが、今回は解説を省略します。
前段部分は、大阪府自身の考えが示されていますので、独自性の高い解説と言えます。
売却代金と運送費を相殺すると排出事業者側に経済的損失がある場合(「運賃による逆有償」とか「手元マイナス」と言われます。)は廃棄物に該当し、受入側事業者における再生利用後に客観的に有償売却できる性状となった時点ではじめて廃棄物を「卒業」する
ここまで簡潔に書いてくれると、誤解や曲解が生じる可能性が無くなります(笑)。
すなわち、大阪府としては、
「売却費よりも運賃が高くなる場合、それを再生利用する事業者の元に届くまでの間は、廃棄物とみなす」という方針になります。
大阪府と書きましたが、大阪府の独自解釈というわけではなく、ほとんどすべての自治体に共通する一般的な行政見解です。
実務的には、再生利用を行う事業者のところに到達するまでの間は、産業廃棄物の場合ならマニフェストの運用が必要ということになります。
« ゴミとなぜ言い切れない? 被覆電線(大阪府Q&Aの注釈) »
タグ
2019年3月18日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:疑義解釈