委託者が自ら中間処理場に運搬する際の契約の要否
排出事業者(委託者)と処理業者(受託者)が、収集運搬+中間処理の委託契約を一括で締結している場合に、委託者が自ら中間処理場まで廃棄物を運搬することは可能でしょうか。
答えは、「可能」です。
法的な問題
理由は、廃棄物処理法でそのような自ら運搬を禁止する規定がないからです。
そもそも、産業廃棄物の処理は、それを排出した事業者の自ら処理を原則とします。
運搬も処理の一工程である以上、排出事業者が廃棄物を運搬することは処理責任を果たしていることになります。
契約に違反しないのか
中間処理業者が悩む点はここにあるのだろうと思います。
収集運搬+中間処理の一括契約であるため、中間処理のみの受託はできないのではないか、という疑問です。
答えは、契約内容によって変わることになりますが、
一般的な雛形を使用した契約なのであれば、委託者の自ら運搬を拒否する必要はありません。
委託者の自ら運搬を拒否できるケースとしては、
・委託者の自ら運搬を禁止している。
・委託料金の設定が「収集運搬+中間処理」でたとえば50円/kgとしか決めておらず、自ら運搬をするから20円/kgに減額してくれ、と言われるケースが考えられます。
このような場合は、契約内容と違背する要求となりますので、
契約の変更や、委託料金に関する新たな定めを置く必要があります。
もっとも、上述したように、一般的な雛形の場合は、
「収集運搬料金が20円/kg」「中間処理料金が30円/kg」という書き方になっていますので、
委託者が自ら運搬をした場合は、「中間処理料金の30円/kg」のみを請求すれば良いということになります。
補足ですが、
自社操業上の安全対策のために、委託者の自ら運搬(持込み)を契約で禁止することも、もちろん合法です。
法律で禁止されていないことについては、契約でどのように定めようとも当事者の自由となりますので、自社に有利な定め方をするのが取引の基本中の基本となっています。
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2013年7月11日 | コメント/トラックバック(5) | トラックバックURL |
カテゴリー:委託契約書
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排出事業者(委託者)と処理業者(受託者)が、収集運搬+中間処理の委託契約を一括で締結している場合に、委託者が、ほかの収集運搬業者と委託契約して中間処理場まで廃棄物を運搬することは可能でしょうか。
コメントいただき、ありがとうございます。
もちろん可能ですが、新たに、
「中間処理業者との中間処理委託契約」「収集運搬業者との収集運搬委託契約」の両方が必要となります。
一括ということは、おそらく、収集運搬と中間処理費用を一括で記載されていると思います。
その場合は、先の中間処理業者との契約は、収集運搬と中間処理を一括で委託する内容ですので、新たに中間処理だけを委託する場合は別契約が必要です。
上記の例外ケースも考えられるのですが、それを書くと余計に混乱されるかもしれませんので、一般原則だけを記しておきます。
教えてください。
収集運搬と処理場で別々に委託契約する際、処理場との委託契約書にも収集運搬会社を記入すると思います。(会社名等の記入のみで押印なし)
この処分場との委託契約書で自社による運搬は可能でしょうか?
それとも収集運搬会社に自社を記入(押印なし)した処分場との委託契約書を必要としますか?
宜しくお願い致します。
可能と考えます。
排出事業者の自ら運搬は収集運搬の委託ではないため、中間処理業者との契約書に自社を運搬業者として記載する必要はありませんが、記載したとしても法的な問題は生じないので、どちらでも良いと思います。
返答ありがとうございます。
収集運搬業者が忙しいらしく、台数を運べないので自社で運搬しようか検討しているところでした。
ありがとうございました。