運搬途中に車両を駐車場に夜通し停め続けるのは違法か?

よくいただく質問の中に
「夜中に排出現場に回収に行くと、その時間では中間処理業者の事業場が開いていません。そのため、自社の駐車場に一度帰り、廃棄物を積んだまま翌朝まで駐車します。これは違法でしょうか?」
というものがあります。

以下のような紛らわしい行為をせず、荷台上の廃棄物に手を触れないのであれば、通常の運搬行為の一環として駐車場に留め置くことは可能です。

逆に、こういう紛らわしい行為はダメです。

・車の荷台から廃棄物を駐車場に下ろして、そこで仕分けをする。
→積替え保管行為になるため、積替え保管の許可が必要です。

車の荷台上で廃棄物を仕分けして、別の車両に廃棄物を移し替えたり、有価物を引き抜く。
→積替えをしていることになるため、やはり積替え保管の許可が必要です。

その他、こうしたケースでやってはいけないのは、
運搬終了日が翌日になってはいけないという思い込みから、運搬が終わっていないのに、廃棄物を回収した日を運搬終了年月日として記載することです。

これをすると、マニフェストの虚偽記載となります。

また、ドライバーのシフト上の問題から、
翌朝からその車両を運搬するドライバーが変わる場合には、運搬担当者の氏名変更が必要でしょうか?

「運搬担当者の氏名」は、「産業廃棄物を確かに私が受取りました」という証明の意味が強く、その担当者から別の担当者に変更することを禁止するものではないため、必要な場合は、ドライバーを収集運搬業者の都合で変えることも問題ありません。

もっとも、通常の直送便であれば、わざわざ運転手を途中で変更する必要はありませんが。

最後に要点をまとめます。

中間処理業者の事業場が閉まったなどの理由で、産業廃棄物を積んだ車両を駐車場に翌朝まで停めることことは違法ではありません。

ただし、荷台上で廃棄物を仕分けしたり、駐車場に廃棄物を下ろすことは積替え保管の許可がないとできません。
廃棄物には一切触らずに、ほろ掛け等の荷台から飛散流出させないための対策も必要です。

また、中間処理場へ運搬することが可能な時間帯であるにもかかわらず、恒常的に駐車場に廃棄物を満載した車両を停め続けると、運搬基準違反となりますので、駐車は必要最小限度の期間内に止めるべきです。

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コメント

  1. さくパパ より:

    楽しく拝見しております。

    1日はOKだけど、土日を挟む場合もあると考えます。
    基本的には大丈夫であると考えますが、駐車場を拠点に満車になるまで積み込んだままにしておくのはNGと思います。

    駐車場で一晩なり二晩とめておくのは飛散流出等のリスクがあると思います。駐車場だから砂利の場合もありますし、囲いが無い場合もありますし。

    難しいですね。

  2. 尾上雅典 より:

    さくパパ様 コメントいただき、ありがとうございます。

    土日や祝日を挟む場合、場合によっては数日間にわたる可能性がありますが、必要最小限度の駐車であれば、やはり認められるのではないかと考えています。

    ご指摘のとおり、飛散流出対策は必須と考えております。

    最初から駐車場で1晩停めることを前提に配車計画をするべきでもありませんね。

  3. ヨッシー より:

    産業廃棄物のテリトリーは広域になっていますので、平日に於いても一泊二日や二泊三日の出張が考えられると思います。また、そのその時の積み置き(言い方に問題あり?)場所は民間の宿泊施設や公共の駐車場になると思われます。何か積み置きに関しての定義があったら良いのですが・・・

  4. 尾上雅典 より:

    ヨッシー様 コメントいただき、ありがとうございました。

    仰るとおり、普通の運搬工程においても数日間にわたる場合はざらにありますね。

    その場合は、通常の運搬をしているだけになりますので、昼食を買いにコンビニに寄るのと同様、堂々と駐車をすれば問題はないと思います。

    ただし、当たり前の話ではありますが、
    停めた場所で飛散流出させないことが、一つの重要なポイントだと考えております。

  5. 僕はハト より:

    こんにちは。いつも参考にさせて頂いております。

    私は都内収集運搬会社の社員で、以前この問題で近隣各県の行政機関に問い合わせたことがあります。概ね下記内容の回答となりました。

    ①基本的には廃棄物を積み込み後、自社車両基地に戻って翌日(もしくは数日後)に降ろし先に向かう行為は認められない。但し、車両故障等の不可抗力でやむを得ない場合を除く。
    ②上記理由は車両基地にて駐車中の臭いや漏洩等の危険、車両盗難(これで問題発覚になる事が特に多いようです)や廃棄物そのものの盗難の危険、近隣住民から「廃棄物を積んだ車がいつも止まっている」等の通報等があるため。

    これらの理由により、恒常的はもとよりたまに行う事も認められないという回答が殆ど(恒常的以外なら良いと答えたところは1件だけ)でした。
    ただ、長距離輸送のために途中のサービスエリア等での車中泊は問題ないようです。

    この問題での指針となる有名な通達「産業廃棄物の保管行為に係る事務処理について 」公布日:昭和60年07月08日 環衛82号での見解の、所謂連続性の意味をどう捉えるかにより、各行政の見解が違うのかもしれませんが、少なくとも関東近県では余程のことがない限りタマに積み置きしてもダメということです。
    これらの行為を探知した場合は、行政指導や処分の対象になりうると脅され?た県もありました。

    これらの行為は積み置きした車両基地の住所地の行政の管轄みたいですので、もし不安な時は一度問い合わせして確認したほうがいいかもしれません。

    以上、長文につき失礼致しました。

  6. 尾上雅典 より:

    僕はハト 様 コメントいただき、ありがとうございました。

    ご指摘のとおり、行政の指導見解としては、単なる駐車か、それとも駐車の形式を装った積替え行為かが紛らわしいため、車両基地に夜通し停めることを嫌がるところが多いのが事実です。

    ただし、法律の基準に照らすと、飛散流出や積替え保管行為がない限り、サービスエリアでの駐車が良くて、その他の場所での駐車がいけないという理由はありませんので、行政処分を下せるかどうかは疑問に思います。

    もっとも、当ブログの趣旨は違法行為や脱法行為を推奨するものではありませんので、
    車両基地での恒常的な夜通し駐車になると、そもそもの配車計画を見直す必要があると考えております。

    お書きいただいたように、万が一の臭いや流出の可能性を考えると、その日のうちに運搬が終わる配車計画を組むのが一番ですね。


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