日々強まる事業系廃棄物削減の要請 その2

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日々強まる事業系廃棄物削減の要請 その1

今回は、なぜ自治体が「あわせ産廃処理」の中止を打ち出し始めたのかを解説します。

「あわせ産廃処理」中止の背景

その理由を簡潔にまとめると、「焼却炉の廃止統合を進めたい」という一言に尽きます。

前回ご紹介した大阪市の場合でも、

出典 大阪日日新聞

 (大阪)市環境局によると、118万トンの内訳は、事業系ごみが71万トン、家庭系ごみが45万トン。減ったのは主に事業系ごみで、08年度に比べ15万トンの減。今回減量できた17万トンというごみの量は、600トン規模の焼却工場の年間処理能力に相当する。仮に600トン規模の焼却工場の立て替えが不要となれば、建設費で約300億円、年間維持管理費で13億円が節減できるとしている。

焼却場を減らすことで、300億円という巨額のコスト削減が可能になると試算されています。

元々、一般廃棄物廃棄物焼却炉は、焼却温度を一定以上に保つため、24時間連続稼動が原則です。
そのため、燃やすべき廃棄物の搬入量を10%減らしたとしても、焼却炉の稼働時間を10%削減というわけにはいきません。
だからこそ、従来の自治体廃棄物政策では、廃棄物の発生抑制やリサイクル推進が真剣に取り組まれてきませんでした。

自治体には、廃棄物の受入れ量を減らすメリットが無かったからです。

しかしながら、ここ5年ほどで、多くの自治体で経営環境が変化し、廃棄物の受入れ抑制(≠発生抑制)に取り組む必要性が高まりました。

それは、自治体の「財政悪化」です。

もはや日本のほとんどの自治体には、焼却炉といった過剰な設備を抱え続ける財政的余裕がありません。
その他、老朽化した施設をつぶし、別の場所に新設するのが、年々難しくなっています。

このような事情を抱え、今までのように廃棄物の発生に寛容な姿勢を維持できず、喫緊の課題として、真剣に廃棄物の「受入れ抑制」に取り組み始めました。

廃棄物の「発生抑制」ではなく、「受入れ抑制」というところがポイントです(笑)。

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