管理会社に「できること」

管理会社に「できないこと」 の続きになります。

管理会社に「できないこと」を先に定義しましたので、「できること」を説明するのも簡単となりました。

それは、「できないこと以外の行為」となります。

当たり前な結論で恐縮です。

「一般廃棄物とは、産業廃棄物以外のすべての廃棄物をいう」と同じ論理構造ですね。

逆に言うと、「できないこと」を理解することが、それだけ重要ということになります。

前回書いた「できないこと」は、「廃棄物処理の受託と再委託」「非弁行為」の2つでした。

この2つ以外の、「処理業者の紹介」や「請求処理の代理」といった、商行為としては一般的なものについては、廃棄物処理法は禁止していません。

そもそも、廃棄物処理法は生活環境の保全を目的とした法律ですので、商取引行為自体はほとんど規制していないのです。

「事前承諾なしの再委託の禁止」や「委託契約書の法定記載事項」等は、廃棄物処理法で明確に規定された例外的な存在と言えます。

仲介に関する業許可の要否については、当ブログ2009年10月16日付記事 「廃棄物処理の仲介に許可は必要?」で、厚生省(旧)の通知を引用しながら解説をしております。

連載のまとめに入りますが、
「管理会社」という存在自体が悪ではなく、節度を保って、法律の範囲内で一方の当事者のアウトソーシングを担う限りにおいては、意味ある存在とも言えます。

間違ってはいけないのは、全国清掃事業連合会も指摘しているとおり、「管理会社を使えば、排出事業者責任が軽減される」わけではないことです。

管理会社が介在したとしても、依然として排出事業者責任は排出事業者のみにあり、契約書やマニフェストの運用・保存の責任は、排出事業者のみに存続します。

「現地確認の代行サービス」をうたう会社が増えていますが、第三者が現地確認に行ったからといって、処理業者選定の責任はその第三者に移転することはなく、委託者である排出事業者のリスクとして残り続けることにも留意しないといけません。

結局のところ、
廃棄物処理実務を熟知した排出企業ほど管理会社を介在させず、
排出事業者責任に無関心な排出企業が積極的に管理会社に頼る、
という構造になっています。

やるべきことは、管理会社等をあげつらった糾弾ではなく、排出事業者自身に自社の責任を認識させることではないでしょうか。

環境省や件のジャーナリスト氏の書きぶりですと、ブローカーの存在が法律の抜け穴であるかのような印象を与えますので、周知啓発とは真逆の効果しか生んでいません。

管理会社を使うのであれば、荷物を宅配便で送ること以上に、排出事業者自身がより賢く、より謙虚になる必要があります。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ