廃棄物処理企業の事業承継に伴う手続き

最近、新聞報道などで廃棄物処理企業のM&Aに関する記事が増えてきました。

上場企業でなくとも、今後は廃棄物処理企業のM&Aの動きは活発化するものと思われます。

それはなぜか?

理由は2つあります。

第1の理由として、「経営層の高齢化が進んでいるにもかかわらず、後継者不在の企業が多い」ということがあります。

創業者の息子が家業を手伝っているケースも多いのですが、創業者が息子に対し後継者としての帝王学を授けていない企業が大半です。

また、「息子は既にサラリーマンになっているので、廃棄物処理事業は私の一代限り」と、事業承継を諦めている経営者も多いです。

第2の理由としては、「産業廃棄物発生量増加が見込めず、競争環境も激化したため、事業を続けていくこと自体が困難」という状況があります。

現在のところは、第1の理由よりも、第2の理由で会社や事業の売却が進んでいますが、今後は第1の理由の方が切実な問題となりそうです。

実際に事業承継をする場合の手続きは、次のとおりとなります。

1.大阪市内にある中間処理業者A(保有施設:木くず破砕機10t/日)を大阪市外の企業B(大阪市の中間処理業許可なし)が吸収合併する場合

中間処理業の新規許可をBが取得する必要あり
木くずの破砕機に関してBが「合併の認可」を受ける必要あり

2.大阪市内にある中間処理業者A(保有施設:木くず破砕機10t/日)の事業を、大阪市外の企業B(大阪市の中間処理業許可なし)が引き継ぐ場合(合併しない)

中間処理業の新規許可をBが取得する必要あり
木くずの破砕機に関してBが「譲受けの許可」を受ける必要あり

3.業者Aの法人格は存続するが、Bから取締役を送り込む場合(Bが経営を引き継ぐ)

この場合は、業者Aが存続するので、B名義の許可取得や処理施設の譲渡手続きなどは一切不要

事業を始めるスピードだけを考えると、断然「3」が早いわけですが、簿外債務や役員からの貸付金などが多額に上る場合は、経営引き継ぎ後の禍根となります。

廃棄物処理法の場合、業許可を別法人に承継させる手続きはありませんので、
同一市内で中間処理業の許可を持っていない法人は、新規許可を取得する必要があります。

自治体によっては、その新規許可申請の前提として、事業地周辺の住民などに計画の説明をすることを義務付けているところがあります。
法律の原則どおり、説明不要という自治体もたくさんあります。

事業承継をうまく活用すると、事業を開始するスピードを大幅に早めることが可能ですが、
業許可の手続きを見落とすと、思わぬところで計画がとん挫することになりますので、あらかじめ許可申請に必要な期間を見込んでおきたいところです。

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