パブコメ後に施行規則の改正内容が変更された部分

昨日は施行規則の改正の概要について解説したところですが、
今回はパブリックコメントを経て、当初公開されていた原案から変更された改正部分を解説します。

実務に影響しない些細な変更は省略し、影響の大きい2点を取り上げます。

下請建設業者が自社物として収集運搬できる条件

施行規則第18条の2の部分ですが、原案では

    建築物に係る修繕維持工事(新築、増築、解体を除く)、又は工事完成引渡し後に工事の一環として行われる軽微な修繕工事で、請負代金が500万円以下の工事
    特別管理廃棄物以外の廃棄物であること
    1回に運搬する廃棄物の容積が1㎥以下であることが明確な廃棄物
    積替えのための保管を行わないもの
    運搬先が元請業者の指定する保管場所又は処理施設で、廃棄物が排出される現場と同一の都道府県内にあること
    「請負契約」であらかじめ、下請が自ら運搬する廃棄物の種類、性状及び量、廃棄物が排出された現場、及び運搬先、廃棄物の運搬を行う期間について定め、その契約書の写しを携行すること

という条件でしたが、
改正された施行規則では、

    次のいずれかの工事で発生した廃棄物であること(特別管理一般廃棄物と特別管理産業廃棄物を除く)
    解体、新築、増築を除く建築工事で、請負代金が500万円以下のもの
    引渡しがされた建築物等の瑕疵の修補に関する工事で、請負代金相当額が500万円以下であるもの
    下記のすべての条件にあてはまる廃棄物であること
    1回当たりに運搬される量が1立方メートル以下であることが明白な状態で選別されていること
    工事現場が位置する都道府県、または隣接する都道府県にある施設に運搬されること(ただし、元請業者が使用権限を持っている施設に限る)
    運搬の途中で保管をしないこと
    請負契約書の写しなどを運搬途中で携行すること

というものになりました。

対象となる工事の要件が若干緩和されましたが、請負契約があることを証する書面(契約書の写しなど)を携行する必要がありますので、
わずか1立方メートルの廃棄物の運搬をするだけのために請負契約書を交わすよりは、素直に産業廃棄物収集運搬契約を交わす方が安全かと思われます。
その場合、下請業者には収集運搬業の許可が必要となりますが。

実務的にはかなり限定された局面でしか使えない規定であることには違いがありません。

処理困難通知の要件

施行規則第10条の6の2の部分ですが、原案では、

    故障、事故
    事業の廃止
    施設の休廃止
    欠格要件該当
    埋立終了(最終処分場の場合)
    行政処分(事業停止命令 、施設の使用停止命令 、施設設置許可の取消、措置命令、改善命令)

となっており、特に「メンテナンスで施設を休止しただけで処理困難通知をしなくてはいけないのか」という不安の声が多かったせいか、

    処理施設で事故が発生し、未処理の産業廃棄物の保管数量が上限に達した
    事業の廃止
    施設の休廃止
    埋立終了(最終処分場の場合のみ)
    欠格要件に該当
    事業の停止命令を受けた
    産業廃棄物処理施設の設置許可の取消しを受けた
    産業廃棄物処理施設に関して、施設の使用停止命令、改善命令措置命令を受け、廃棄物処理ができなくなり、未処理の産業廃棄物の保管数量が上限に達した

と、施設の休止で処理ができなくなった場合は、滞留した未処理の産業廃棄物の保管数量が上限に達したときに通知が必要と明示されました。
「休止、即通知」ではなく、具体的な支障となる原因を規則上で明示してくれたため、判断基準が明確になりました。
排出事業者と処理業者の双方に対して重要な意味を持つ規則改正です。

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コメント

  1. 山口 より:

    産業廃棄物焼却施設の定期点検工事をひかえている処分業者の者です。
    法改正に伴い、この種の工事の際も、処理困難通知が必要なのか否か、
    悩んでいたところでした。
    大変わかりやすい形で解説していただき、大いに役立ちました。
    ありがとうございました。

  2. 尾上雅典 より:

    山口 様

    コメントありがとうございました。

    メンテナンスのたびに処理困難通知をさせられたのでは、
    真面目な事業者にとってはたまったものではありませんので、
    妥当なラインに落ち着いて安堵しております。

    今後ともよろしくお願いします。


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