次の廃棄物処理法改正候補 Vol.3(再生利用指定制度の解説 その1)

次の廃棄物処理法改正候補 Vol.1(ペットボトルの専ら物化 その1)
次の廃棄物処理法改正候補 Vol.2(ペットボトルの専ら物化 その2) の続きです。

前2回の記事では、ペットボトルを専ら物とみなす方向での法律・制度改正がおこなれる可能性は低いと考えざるを得ないと書きました。

その一方で、環境省は、専ら物と同様に、業許可不要の特例である「再生利用指定制度」を活用できないかどうかの検討に入る方針を示しています。

しかしながら、環境省がその検討に入るよりも前に、東京都が、店頭回収されたペットボトルの運搬や処分を、一定の条件下で再生利用指定制度の一環として位置づけることになりました。

東京都「『持続可能な資源利用』に向けた取組方針」(2015年3月31日付発表)
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次の廃棄物処理法改正候補 Vol.2(ペットボトルの専ら物化 その2)」で少し触れたように、現段階でも、国の検討を待たずに、東京都知事の裁量で再生利用指定を行うことは可能でした。

そのため、東京都の取組みを見た他の都道府県においても、ペットボトルの運搬や処分を再生利用指定制度の一環として位置づける動きが続く可能性があります。

東京都の発表資料にも再生利用指定制度の解説が書かれていますが、
環境省が規制改革会議のWGで示した資料も引用しながら、再生利用指定制度の概要と実務上の注意点を解説していきます。

再生利用指定制度の概要

規制改革会議第7回投資促進等ワーキング・グループ資料の環境省提出資料より抜粋
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「再生利用指定制度」の要点は、
“再生利用されることが確実であると都道府県知事が認めた産業廃棄物”
“都道府県知事の指定により廃棄物処理業の許可が不要となる”
の2点にあります(法第14条第1項、施行規則第9条及び第10条の3)。

指定をした都道府県内限定という制約がありますが、その都道府県内では、業許可を取得しなくても特定の産業廃棄物の処理が可能となります。

環境省資料の下段では「個別指定」と「一般指定」の2つの説明が書かれています。

「個別指定」とは、再生利用指定を受けたい者が個別に申請をし、その申請者に対して個別に与えられる指定になります。

「一般指定」とは、個別の事業者の申請は必要なく、都道府県が特定の産業廃棄物と特定の業種を概括的に指定し、指定された業種や事業者については、業許可の取得が不要となる制度になります。

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「一般指定」の実例としては、
「木くず」をボイラー燃料として無償で受け入れている「銭湯」を一般指定している自治体があります。

本来なら、他者が発生させた産業廃棄物の処理を引き受ける銭湯には、産業廃棄物処分業の許可が必要ですが、ボイラー燃料用という100%再(生)利用可能な物しか扱わないため、概括的に銭湯を一般指定することで、手続きの簡素化や産業廃棄物の再利用促進が図れます。

銭湯という業種自体への指定ではなく、個別に指定申請をした銭湯のみに指定をする場合は、「個別指定」となります。

(続く)

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