次の廃棄物処理法改正候補 Vol.4(再生利用指定制度の解説 その2)

次の廃棄物処理法改正候補 Vol.1(ペットボトルの専ら物化 その1)
次の廃棄物処理法改正候補 Vol.2(ペットボトルの専ら物化 その2) 
次の廃棄物処理法改正候補 Vol.3(再生利用指定制度の解説 その1)
の続きです。

今回は、再生利用指定制度の実務上の注意点です。

せっかくですので、東京都の再生利用指定を題材として解説します。
tokyo

東京都の今回の指定の場合、
まず、ペットボトルの破砕、選別、洗浄などを行う事業者が申請をし、個別指定を受ける必要があります。

個別指定を受けるためには、産業廃棄物処分業の許可を取得する必要はなく、環境省が規制改革会議に提出した資料によると、下記の基準にあてはまっていれば個別指定を受けることができるとされています。

・ 対象産業廃棄物の排出事業者のみからその処理の委託を受けること。
・ 処理の用に供する施設及び申請者の能力が産業廃棄物処理業の許可の基準に適合すること。
・ 処理において、生活環境保全上の支障が生じないこと。
・ 再生利用業が営利を目的としないものであること。
・ 欠格要件に該当しないこと。

そして、個別指定を受けた事業者が現れることによって、その事業者に店頭回収されたペットボトルを持ち込む運送業者等は「一般指定」に該当することとなり、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得せずとも、東京都内ではペットボトルの運搬が可能となります。

別の言い方をすると、
「個別指定されていない事業者にペットボトルを持ち込む場合」や、「店頭回収されたものではないペットボトルを運搬する場合」には、一般指定の要件にあてはまらないため、再生利用指定の恩恵を受けることはできず、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となります。

店頭回収されたペットボトルは一般廃棄物か、それとも産業廃棄物か

東京都の指定では、店頭回収されたペットボトルは、それを回収した店舗などの産業廃棄物と位置づけられています。

筆者も、それが妥当と考えています。

「そもそもは一般家庭から発生したゴミであるため一般廃棄物である」という見解も成り立ちますが、
ペットボトルの回収ボックスを設置することは、店舗に来る客の利便性を高め、商品をより多く買ってもらうための措置でもありますので、商品販売という事業目的の遂行のために集めた(集まった)産業廃棄物と位置づけた方が、産業廃棄物として効率的な処理が可能となります。

また、このようなケースで、ことさらに一般廃棄物としての出自のみに着目する意味はありませんし、来店客が回収ボックスに投入した時点から産業廃棄物として取り扱う方が合理的と思います。

このあたりの議論は、法学的、あるいは哲学的に深めていくことが可能なテーマですが、実務的には深く議論する意義がありませんので、ひとまず「店頭回収されたペットボトルは産業廃棄物扱いが妥当」と言い切っておきます。

再生利用指定は都道府県内限定の特例である

再生利用指定は、各都道府県が個別に指定するものですので、その指定をした自治体のみに適用される特例です(政令市も都道府県と同様に、再生利用指定を行えます)。

そのため、業許可の取得不要となるのは、再生利用指定をした自治体の中だけの話となります。

例えば、「千葉県内の店舗」から「東京都内の個別指定事業者」にペットボトルを搬入する場合には、東京都の再生利用指定の範囲外となりますので、千葉県の廃プラスチック類の収集運搬業許可が不可欠となります。※注記 例としてモデル化しているだけですので、実際に千葉県が店頭回収したペットボトルを産業廃棄物と扱うかどうかは千葉県庁にご確認ください。

処理委託実務

廃プラスチック類の処理委託である以上、委託基準が適用されることになります。

そのうち、「許可業者等への委託」については、再生利用指定を受けた事業者は許可業者と同等の存在となりますので、再生利用指定の範囲の事業を委託できます。

次に、「マニフェストの運用」については、廃棄物処理法第12条の3(詳細は同施行規則第8条の19第六号)でマニフェストの交付不要と定められていますので、運用不要となります。

最後に、「委託契約書の作成」については、いかなる場合でも委託契約書の作成を免除する例外規定が存在しませんので、再生利用指定事業者に委託をする場合でも委託契約書の作成が必要です。

契約書の作成に関してもう一つ問題となるのが「許可証の写しの添付」ですが、一般指定の場合は、特定の業種等を概括的に指定するものですので、個別の事業者に対する許可証に類する証明書が存在しません。

そのため、

廃棄物処理法施行規則第8条の4
 令第6条の2第四号 (令第6条の12第四号 の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める書面は、次の各号に掲げる委託契約書の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 産業廃棄物の運搬に係る委託契約書 第10条の2に規定する許可証の写し、令第7条の6において準用する令第5条の7に規定する認定証の写し、令第7条の8において準用する令第5条の9に規定する認定証の写し、令第7条の10において準用する令第5条の11に規定する認定証の写しその他の受託者が他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものであることを証する書面

で定められているとおり、委託先事業者が再生利用指定の一般指定にあてはまることを証明(説明)できる書面を個別に準備する必要があります。

公報等で再生利用指定の内容が告示されている場合は、その告示文が公的な証拠書類に準ずるものと扱えると思います。

「思います」と表現したのは、環境省からこのようなケースにおいての公的見解が示されていないためです(示されている場合は、ご指摘いただければ幸いです)。

自治体によっては、告示などを特にせず、自治体内の内規のみで再生利用指定を行っているところもあります。

このような自治体の場合は、その自治体と個別に協議をし、再生利用指定の範囲を明らかにした書類を作ってもらうしかなさそうです。

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