次の廃棄物処理法改正候補 Vol.7(企業グループ内処理の特例化 その3)

次の廃棄物処理法改正候補 Vol.5(企業グループ内処理の特例化 その1) 
次の廃棄物処理法改正候補 Vol.6(企業グループ内処理の特例化 その2) の続きです。

前回までの記事では、経団連が出した要望の主旨や理由に触れるだけで、「特例化が無ければグループ内処理が不可能なのか」という整理をしておりませんでした。

次の記事で追々整理をする予定でしたが、先にこの点を整理しておいた方が、問題のより本質的な理解が進むと思いましたので、解説の予定を前後させて、「特例化や法改正が不可欠なのか」について整理をします。

グループ内で産業廃棄物を合法的に処理する方法

まず根本的に重要な前提条件として、現段階でも「企業グループ内での産業廃棄物処理を合法的に行うことは可能」なのです。

それは、「グループ内の産業廃棄物処理を行う企業が、産業廃棄物中間処理業の許可を取得する」ことです。

規制緩和は、不必要な規制の存在によって、企業活動が著しく害されている場合に行われるべきものですが、
本件においては、「産業廃棄物処理業の許可制度は必要な規制であり」「企業活動を著しく害しているわけでもない」ため、規制緩和の対象とするには不適、というのが筆者の考えです。

もちろん、業許可制度の存在によって、企業の自由な活動が制限される部分は当然ありますが、
「廃棄物の適正な処理」という公益の維持・達成のためには、業許可制度は必要、かつ受忍可能な規制です。

「中間処理業の許可はすぐ取れないではないか」という指摘があるかもしれませんが、
準工業地域に新規立地する産業廃棄物処理業者と比べると、工業専用地域の自社(あるいはグループ企業の)敷地内に施設を設置する場合は、業許可の取得は非常に容易です。

最終処分場を設置したい場合は別ですが、工場敷地に一般的な自ら処理用の施設を設置する程度ならば、近隣住民から施設の設置について反対されることはほとんど考えられません。

ちなみに、法律の規定を越えた実務的な現実としては、自社処理施設の設置の場合でも、多くの自治体は近隣関係者への周知を義務付けていますので、たとえ特例化が認められたとしても、周知という手間を掛けざるを得ません。

産業廃棄物の収集運搬の場合は?

これも、現行の業許可制度で十分対応可能です。

「産業廃棄物を持ち出す場所」と「産業廃棄物を受入れる場所」の都道府県から、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するだけです。

産業廃棄物収集運搬業(積替え保管無し)の場合は、事実上書類審査だけですので、許可条件さえ満たしていれば、申請後数カ月以内に許可を取得できます。

「全国の都道府県から許可を取得するのが面倒なんだ!」という反論があるかもしれませんが、
そもそも、グループ内の産業廃棄物を処理する場合は、「ある企業が全国方々の工場の産業廃棄物を回収して回る」というケースは考えにくく、
「グループ内の各企業が自社の発生させた産業廃棄物を特定の工場に持ち込む」というケースが中心になろうかと思います。

そうなると、各企業が、「産業廃棄物を持ち出す場所」と「産業廃棄物を受入れる場所」の都道府県から産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するだけで、今すぐ動かし始めることが可能です。

結論

グループ内の産業廃棄物をグループ内で行うこと自体は否定しませんし、それを行うことで、経団連の要望趣旨のメリットが出ることも理解しています。

しかしながら、「業許可さえ取得すれば、今すぐ始められる取組みである以上、特例化や法律改正は必要なし」というのが筆者の考えです。

「業許可を取るのは大変に違いない」という不安をお持ちの大企業の方がおられましたら、ご要望いただければ、許可取得までのコンサルティングをさせていただきます(笑)。

(続く)

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