次の廃棄物処理法改正候補 Vol.8(企業グループ内処理の特例化 その4)

次の廃棄物処理法改正候補 Vol.5(企業グループ内処理の特例化 その1) 
次の廃棄物処理法改正候補 Vol.6(企業グループ内処理の特例化 その2) 
次の廃棄物処理法改正候補 Vol.7(企業グループ内処理の特例化 その3)
の続きです。

改正の趣旨や筆者の個人的見解を述べるのに紙幅を費やしましたが、今回で連載は終了となりますので、法改正される可能性を最後に見ていきます。

筆者の個人的な意見はさておき、環境省は、規制改革会議 第7回投資促進等ワーキング・グループ(以下、WG)において、産業廃棄物課長が、次のように明言しています。

私ども(筆者注:環境省)の考え方として、そのとき(筆者注:第3回WG)に御説明させていただいた内容でございますけれども、基本的には許可不要とする方向で検討したいと考えております。

ただし、無条件に許可不要となる法律改正を行うのではなく、以下の2条件(「1」の部分)の検討を行ってからという条件つきとなります。

1

筆者にしてみれば、廃棄物処理法の立法趣旨からすると、いずれの条件もおよそ解決できそうにない課題と考えておりますが、
環境省の産業廃棄物課長は、

現在、日本経済団体連合会と具体的な協議を進めさせていただいているところでございます。
協議の中身については、基本的に現在は、意見対立は今、特にないと思っております。

と答えられていますので、法律改正に向けた視界はかなり良好なようです(苦笑)。
2

WGの議事録を見る限り、どうやら環境省は、
「法律違反があった時に、どの法人に、どのような行政処分をかけるべきか」を重視しているようです。
3
4

もちろん、それも重要な論点の一つであることは間違いありませんが、
経団連と環境省の議論には根本的な欠陥があります。

それは、

「大企業は、産業廃棄物をいついかなる時でも必ず適正に処理するはず」という根拠のない思い込みをベースに議論を進めている点です。

企業活動を性善説的に捉えるのであれば、環境省の期待通りに大企業は自社処理を適切に進めてくれることでしょう。

そして、大部分の大企業は、実際にそれを履行していくものと思われます。

しかしながら、少なくない数の企業が、日々廃棄物処理法違反(その多くは、委託基準違反)を繰り返している実態がある以上、許可不要という大きなメリットをフリーハンドで与えることの危険性を考える必要があります。

また、2010年の水質汚濁防止法と大気汚染防止法の改正により、測定結果の未記録や改ざんに対する罰則が新設されたことを思い出す必要があります。
2010年3月2日付 環境省発表 「大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について」の「改正の趣旨」

 近年、地球温暖化を始めとする環境問題の多様化、地方公共団体や企業における経験豊富な公害防止担当者が多数退職しつつあること等を背景として、公害防止対策を取り巻く状況が構造的に変化している。
 こうした中、昨今、事業者の公害防止管理体制等に綻びが生じている事例がみられている。具体的には、一部の事業者において、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の排出基準の超過があった場合に、ばい煙や排水の測定結果を改ざんする等の不適正事案が発生している。また、公共用水域において発見される水質事故の件数が増加傾向にある。

「法律改正が行われたとしても、行政が監視をするから問題が起こるはずがない」という反論があろうかと思いますが、
地方自治体は年々予算とマンパワーが減少していますので、企業の自ら処理を監視し続ける余裕はありません。

そのため、このまま法律改正が行われれば、グループ企業を多数有する大企業は、自社処理施設で誰からの監視を受けることなく、かなり自由な産業廃棄物処理ができることになります。

誤解のないように補足をしておくと、筆者は
「大企業は金のためなら悪いことをする」という直情的な思い込みを持っておりません(苦笑)。

むしろ、「大企業の大部分は適法な処理を励行するはず」という期待をしております。

しかしながら、人間という生物の本質として、
「放っておくと、怠けたり、ミスを起こしやすくなる」
「企業規模が大きくなればなるほど、そのミスが社会に及ぼす悪影響が大きくなる」という事実を忘れることもありません。

環境省に対して切に期待するのは、
「大企業に物分りの良い役所になる」ことではなく、
昭和46年の公害国会で廃棄物処理法が制定された経緯を踏まえ、「物分りが悪い」と言われ続けようとも、「規制官庁」の本分を発揮していただくことです。

以上で、8回に渡った(現時点での)2015年改正の予想されるポイントの考察を終了します。

1日早いかもしれませんが、皆様良いゴールデンウィークをお過ごしください。

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