雑品スクラップ保管場所の届出義務違反で懲役刑!?

最初にお断りしておきますが、雑品スクラップ保管場所の届出義務違反で懲役刑になることは有り得ません。

そんなタイトルにした理由は、某業界新聞に、そのような事実誤認の寄稿文が掲載されていましたので、「事業者は自分自身で条文を読みましょう」という注意喚起を促すためです。

某業界紙における廃棄物処理法の改正内容に関する解説トピックから抜粋


※「1000万円」ではなく、「1000面円」となっているのもご愛敬です。

最初にこの記事を見たときは、「こんなに重要な改正内容を見逃すとは、ブログの執筆を止めた方が良いかもしれない・・・」と、一瞬だけ自分を恥じました(汗)。

しかし、
「いや、法律改正がこんな内容であるはずがない。念のため、該当する条文をもう一度読み返そう。」と気を取り直し、
雑品スクラップ保管場所保管場所の届出義務(改正廃棄物処理法(以下、改正法)第17条の2)に対応する罰則(改正法第30条)を参照すると、

と、「30万円以下の罰金」と明記されているではありませんか。

これで、自分の理解が正しく、記事の内容が事実誤認であることが確定しましたので、
次に、「どうしてこのようなミスリードをしたのか?」を(お節介にも)勝手に考えてみました。

25条の罰則は廃棄物処理法で最も重い罰則ですので、普通なら、このようなミスリードを起こす可能性はほとんどありません。

「そのきっかけとなる記述が条文のどこかにあるはず」という推定の元、改正法第17条の2を精査しました。

おそらく、下記の改正法第17条の2第3項の準用規定を早とちりしたことが、その原因かと思います。

改正法第17条の2
3 次条第1項、第19条第1項、第3項及び第4項、第19条の3(第一号及び第三号を除く。)並びに第19条の5第1項(第二号から第四号までを除く。)及び第2項の規定は、有害使用済機器の保管又は処分を業とする者について準用する。

上記にある「第19条の5」は措置命令に関する規定ですが、「雑品スクラップの保管が措置命令の対象になるのであれば、措置命令違反は法第25条の罰則の対象なので、5年以下の懲役刑が科されてもおかしくない」と、執筆者は考えたのではないでしょうか?

取材に基づかない完全に私の個人的推測ですので、外れていたら申し訳ありません。<(_ _)>

しかしながら、もしも私の推測どおりだとすると、

雑品スクラップの保管が措置命令の対象になるのであれば、措置命令違反は法第25条の罰則の対象なので、5年以下の懲役刑が科されてもおかしくない

という連想は、論理的に正しくありません。

たしかに、届出をせずに雑品スクラップの保管を行い、それが保管基準違反として措置命令の対象になる場合もありますが、
保管場所の届出義務違反自体は「30万円以下の罰金」の対象でしかなく、
届出を怠ったからと言って、自動的に「5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金」の対象になるわけではありません。

措置命令は、生活環境保全上の支障、またはそのおそれに基づいて発出されるものですので、「届出がされていない」という事実に対して発出されるものではありません。

記事で言うところの「共謀罪」の対象は、「不法投棄」や「野外焼却」等の、それだけで「5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金」の対象となる犯罪ですので、「保管場所の届出義務違反」をそれと結びつけるのは明らかに間違いです。


「原典に当たる」ということは、常に仕事の基本ですね。

ブログでは「正しい」と信じていることだけを書くようにしておりますが、私も人間ですので間違いは多々あると思います。

間違いを見つけた方は、穏やかにメール等でご指摘いただけると幸いです(笑)。

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