小型家電リサイクルへの市町村の参加見込み

3月3日 NHKニュース 小型家電リサイクル新制度 参加は3割

小型の家電製品を自治体などが回収してレアメタルなどのリサイクルを進める新たな制度について、参加する予定の自治体は全体の30%あまりにとどまっていることが環境省が行った調査でわかりました。

携帯電話やパソコンなど使用済みの小型の家電製品にはレアメタルや金などが含まれていますが、リサイクルが進んでいないため来月から自治体などが小型の家電製品を回収し、事業者に引き渡してリサイクルを進める新たな制度が始まります。
制度が始まるのを前に、環境省が去年11月、全国の市町村などを対象に制度に参加するかどうか調べたところ、回答があった1701の自治体のうち、参加の意向を示したのは575で、全体の33.8%にとどまっていることがわかりました。
参加する予定がないと回答した自治体にその理由を複数回答で尋ねたところ、「ごみの収集や処理を複数の自治体で行っているため調整が必要」が45%、次いで「人員が足りないなど体制的に困難」が43%、「予算的に困難」が33%などとなっていました。
環境省は今年度の補正予算や平成25年度の当初予算で各自治体を財政的に支援する方針で、今回の結果について「新たな制度を効果的に実施するには多くの自治体の参加が不可欠で、今後も参加を促していきたい」と話しています。

ニュースソースとしてはそんなに新しいものではないので、NHKの報道以上にわかりやすい資料を掲載しておきます。

環境省が市町村へのアンケート結果を取りまとめたものですが、
「どちらかというと実施方針あり」という、曖昧な回答を「参加の意向」とカウントするのであれば、確かに全体で33.8%になります。

しかし、「どちらかというと実施方針あり」は、文字通り「方針があるだけ」であり、確実にその市町村が実施する見込みがあるわけではありません。

確実に参加が見込める「実施予定」だけで考えると、約1割の市町村で、日本の人口割合でいうと17.1%のカバー見込みしかありません。
ただし、それすら実施“予定”でしかありませんが。

統計に恣意的な観測を持ち込むのは厳禁ですが、実態は報道以上に様子見を決め込む市町村が多いものと思われます。

しかしながら、様子見とはいっても、それをもって市町村を責めることはできません。

技術的に小型家電からレアメタルを取り出すのはもちろん可能ですが、
「画に描いた餅」ではなく、持続可能なリサイクルフローとするためには、経済性の成立が不可欠です。

市町村及び認定事業者の支出なしには、およそ成立が不可欠なリサイクルフローであるため、市町村が二の足を踏むのは当然です。

事業者とは違い、市町村は一度始めた事業をすぐに廃止するのは困難であるため、一層その傾向が強まります。

小型家電リサイクルの最大の弱点は、経済合理性がほとんど担保されていない点です。

環境省は規制しか知らない官庁ですから、小型家電リサイクル法でも、事業者の裾切り基準を明示することには熱心でした。

しかし、小型家電リサイクルに参加する市町村や認定事業者に対するインセンティブが、事実上法律にはほぼ明示されていません。

今さら法律の内容を批判しても仕方がないのですが、
同法の制定過程で、経済合理性についてはそれほど熱心に論議されていませんでしたから、その点で躓くのも当然なのかもしれません。

とはいえ、法律自体は成立してしまった以上、うまく同法を活用して、リサイクルの効率化を図っていただきたいところです。

そのためには、認定事業者の出現と、リサイクルに意欲を燃やす市町村のより多くの参加が不可欠です。

環境省の実効性のある支援策を期待したいところです。

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