産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(平成22年度実績)
3月11日に、環境省から
産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(平成22年度実績) が発表されました。
産業廃棄物処理施設の設置状況(≒日本全体の産業廃棄物処理能力)
前年度の「廃止施設数」よりも「新規施設数」よりも多い施設は、
「廃油の油水分離施設(+8 新規施設と廃止施設の比較、以下同様)」「廃プラの破砕施設(+28)」「廃石綿等又は石綿含有廃棄物の溶融施設(+1)」「木くず又はがれき類の破砕施設(+73)」「PCB廃棄物の焼却施設(+2)」「管理型処分場(+4)」の6施設でした。
管理型処分場の数が前年度よりも増えていることに若干驚きました。
新規設置が難しい施設ですが、廃止数を上回る勢いで新設が進んでいるからです。
管理型処分場の場合、設置に至るまで3年以上の年月が費やされることが一般的ですので、たまたま平成22年に設置のタイミングが合っただけなのかもしれませんが、最終処分場設置者の真摯で粘り強い地元調整の成果であるのは間違いありません。
2.産業廃棄物処理業の許可件数(≒処理市場の飽和度)
事業者数ではなく「許可件数」ですので、一社で複数の自治体の許可を取得した場合、その許可件数がカウントされることになります。
平成3年以降許可件数は年々増加し続けていましたが、平成22年に至りはじめて減少しました。
その原因は何でしょうか?
収集運搬業の許可合理化は翌年の平成23年からの措置ですので、この統計には無関係です。
前年と比べて廃止(廃業)した事業者が著しく多かったわけでもありません。
この統計は事業者数そのものではないにせよ、産業廃棄物処理業者の数がこれだけ減っているのでしょうか?
現場の感覚としては、統計が示すようには事業者数が減ったとは思えません。
むしろ、建設業などの異業種からの参入が増え、競争は激化しているように思います。
おそらく、この統計は「許可件数」ですので、廃止も更新もせずに、許可の有効期間満了をもって許可を失効させた事業者が相当多いのだろうと思います。
その場合は、許可件数は減少しますし、廃止件数も増えないからです。
これが何を意味するかというと、いままでは5年に1回許可更新を続けていた業者が、その必要性を感じなくなったために一斉に処理業を廃業しているということです。
いわば、実態とかい離した状態で水増しされていた許可件数が、今後数年で実態(現に廃棄物処理業を営んでいるという意味)に近いレベルまで落ちていくということです。
平成23年からは、収集運搬業許可の都道府県一本化や優良事業者認定に伴う許可期間伸長措置などの影響が加わりますので、さらに許可件数が減少することは間違いありません。
許可件数の減少は、廃棄物処理市場の衰退ではなく、実態をより正確に反映しただけと言えそうです。
3.取消処分件数の推移
平成15年度の法改正以降、欠格要件に該当した処理企業の許可取消が義務化され、許可取消件数が激増しています。
平成22年の許可取消件数は前年よりも424件減少しましたが、それでも825件という非常に多い件数となっています。
許可取消を防ぐためには
欠格要件に該当しないよう常に気を付けることや、行政処分を受けないように処理基準を守った操業をすることしかありません。
4.最終処分場の状況
新規設置が増えたために、最終処分場の残存容量が大きく増えました。
年々残余年数も伸びているため、最終処分場不足の問題は解決したかのように見えますが、実際は地域によって管理型処分場などが偏在しているため、日本全体としてはまだまだ不足感が強く感じられます。
逆に、最終処分場が集中している地域があるのも事実です。
一番の理想は、特定の地域に最終処分場が集中することではなく、半径100km圏内に管理型最終処分場がバランス良く点在する状態だろうと思います。
あくまでも理想でしかありませんが。
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2013年3月12日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:統計・資料