産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成27年度)について

2016年12月27日に、環境省から「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成27年度)について」が発表されました。

環境省の発表内容によると、

1.平成27年度に新たに判明したと都道府県等から報告のあった不法投棄事案の件数は143件(前年度165件、-22件)、
不法投棄量は16.6万トン(前年度2.9万トン、+13.7万トン)

2.平成27年度に新たに判明したと都道府県等から報告のあった不適正処理事案の件数は261件(前年度146件、+115件)、
不適正処理量は40.7万トン(前年度6.0万トン、+34.7万トン)

3.平成27年度末における不法投棄等の残存事案として都道府県等から報告のあった件数は2,646件(前年度2,583件、+63件)、
残存量の合計は1,609.7万トン(同1,594.2万トン、+15.5万トン)  でした。

不法投棄量と不適正処理量の両方が前年度よりも増加しています。

不法投棄の前段階とも言える、不適正処理事案の発見が増えたことを喜ぶべきかどうかが問題となります。

行政が関知していない不適正処理事案が相当数存在するであろうことを考えると、平成27年度は不適正処理が社会的に増え始めた年と位置づけられそうです。

おそらく、この背景には、経済情勢の悪化とともに、行政の監視体制の弱体化という問題がありそうです。

環境省と地方自治体が共同して「産廃アカデミー」を開催し、監視を担う行政職員の資質向上に多大な努力をしているところですが、「一職員の知見や資質」が重要なことは当然ですが、組織として不適正処理事案に対処していくためには、それだけでは不足と言わざるを得ません。

首長の政治理念やバランス感覚、首長の政策を実行する部局長の胆力といった、むしろ組織の頭脳に相当する部分の意識改革が不可欠なのだろうと思います。

このように考えると、統計を恣意的に操作しない限り、今後も不適正処理事案の件数は徐々に増加していくのではないかと考えています。

touki27

不法投棄実行者の内訳

kensuu27

平成27年度は、「投棄件数」の過半数は「排出事業者」が実行者でしたが、「投棄量」で見ると、「許可業者」が約14万トンで8割超と、許可業者が悪の権化であるような印象を受けてしまいますが、これはおそらく平成27年度に見つかった新規事案の実行者が許可業者であったためと思われます。

そのため、平成27年度の投棄量については、特殊事例と言える結果ですので、このような内訳になるのは平成27年度のみと思います。

また、引き続き投棄量の約8割は建設廃棄物となっていますので、建設廃棄物の適正処理確保が今後も重要な課題となっています。
utiwake27

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ