産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和4年度)

2023年12月8日に、環境省から「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和4年度)について」が発表されました。

環境省の発表内容によると、

(1) 令和4年度に新たに判明した不法投棄事案
 ・不法投棄件数  134件    (前年度107件)    [+27件]
 ・不法投棄量   4.9万トン  (前年度2.2万トン)   [+2.7万トン]

(2) 令和4年度に新たに判明した不適正処理事案
 ・不適正処理件数 107件    (前年度131件)    [-24件]
 ・不適正処理量  2.6万トン  (前年度10.9万トン)   [-8.3万トン]

(3)令和4年度末における不法投棄等の残存事案
 ・残存件数    2,855件   (前年度2,822件)    [+33件]
 ・残存量     1013.5万トン(前年度1547.1万トン)  [-533.6万トン]

でした。

不法投棄の件数と量ともに、前年度よりも増加しています。

本統計は

1件あたりの投棄量が10t以上の事案(ただし、特別管理産業廃棄物を含む事案は全事案)を集計対象

としているため、日々報道されている「10トン未満の不法投棄」の存在を考慮すると、体感としては、不法投棄事件が増えたように思えます。

令和3年度の統計を紹介した際にも書きましたが、
私が実際に不法投棄対策に携わっていた2000年代初頭以前の状況と比べると、近年の大規模不法投棄自体は激減しています。

私が産廃行政を初めて体験した平成13年度の不法投棄件数を見ると「1,150件」とあります。

数字の大きさだけを見ると、平成13年当時は無法状態であったかのような印象を受けてしまいますが、決して日本の治安が悪かったわけではありません(笑)。

今振り返ると、2001年当時の世相としては、現在よりも不法投棄に対する罪悪感が乏しく、法規制にも抜け穴が多かったため、「不適正保管」が「大規模不法投棄事案」へとすぐに悪化した記憶があります。

このように、20年前の最悪の状況とはかなり異なる様相を呈している昨今ですが、「前年度比では件数と量ともに増加している」という不気味な状況を考えると、これまで取り組まれてきた数々の不法投棄対策の効果を検証し、現代の社会情勢に合わせた新しい対策を取り入れる必要がありそうです。

令和4年度も、「投棄件数」の約半分は「排出事業者」が実行者でした。

「許可業者」による不法投棄はたったの2件しかありませんでしたが、その2件だけで3,425トンと、1件あたり約1,700トンという大規模な不法投棄量となっています。

不法投棄された産業廃棄物の内訳としては、令和4年度は全体の77.9%が建設廃棄物でした。

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