廃棄物を横流しされないようにする方法

壱番屋の廃棄ビーフカツ流出事件は、壱番屋のみならず、他の食品関連事業者の廃棄品についても既に消費者に売られていた可能性が出てきました。

一処理業者と、一製麺業者が結託して起こした事件ですが、続々と新たな食品関連事業者の名前が挙がっています。

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法的には、排出事業者は契約書の作成等の委託基準を遵守していれば違法とはなりませんが、
これだけ錚々たる企業の名前が挙がってくるということは、件のダイコーという処理業者は、食品関連事業者にとっては非常に便利な存在であったと考えられます。

ここで食品関連事業者を悪者に位置づけ、「注意不足だ」「安値で頼む企業が悪い」と罵るのは簡単ですが、生命の源である食品に対して「安さ」を過剰に要求したのは、他ならぬ我々消費者自身であることも忘れてはならないでしょう。

この事件を受け、今後は安値志向が是正されるのか、それとも数週間後には「こんな事件もあったねえ~」とすぐに忘れ去られ、また安値志向に戻っているのでしょうか?

さて、繰り返しになりますが、このように大規模な食品廃棄物流出事件は、産業廃棄物処理業者単独で行うことは不可能であり、必ずそれを市場に流すルートを持つ仲買人との結託が不可欠となります。

廃棄物を市場に流すことへの罪の意識が、彼らに欠如していたのは間違いなさそうですが、
裏を返すと、廃棄物を横流しすることで金銭的メリットがあるからこそ、そのような愚行に手を染めていたとも言えます。

そのため、廃棄物の横流しを防ぐには、その金銭的メリットを失くせば良いということになります。
その方法は主に3つあります。

  1. 「商品としての価値を棄損させる」
  2. 「処分工程に入ったことを見届ける」
  3. 「契約違反に対してペナルティを科す」

上記の3つの方法の内、当事者である壱番屋は、今後「1」と「2」の手法を組み合わせることにしたそうです。
2016年1月19日付 産経WEST 「社員が立ち会い、食材が処理されたことを目視で確認…廃棄処理の対応厳格化 壱番屋が再発防止策

 カレーチェーン店「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋は19日、廃棄した冷凍カツが横流しされた事件を受け、廃棄処理を産廃業者に依頼する際の対応を厳格化するとの再発防止策を発表した。
 数千枚のカツなど廃棄する食材が大量に出た場合に、業者側の施設で社員が立ち会い、食材が処理されたことを目視で確認することにした。これまでは自社の工場で廃棄品を引き渡すまで立ち会っており、その後は業者からの報告を受けて処理の完了としていた。
 廃棄する量が少なければ、工場で発生する生ごみと混ぜて堆肥の原料にしてから委託する。
 壱番屋のカツは、産廃業者「ダイコー」(愛知県稲沢市)を通じて横流しされた。ダイコーとの取引はすでに停止し、新たな取引先の選定を進めている。

記事にあるように、生ごみと廃棄品を混ぜてしまうと、さすがの横流し業者でも食品として売れるとは思わないでしょうから、破壊力抜群、かつ確実な対策です。

ただし、廃棄する物に対してさらに一手間を加えるというのは非常に面倒ですので、続けるうちに、商品価値の毀損が不完全な物が出てくる可能性があります。

また、食材によっては、多少の生ごみなら除去した上で加工をするという、想像するだに恐ろしい新手法が出てくる可能性もあります。

そのため、時間は掛かるものの、もっとも確実なのは、「全ての廃棄物が中間処理工程に入るのを見届ける」ことだと言えます。

機密書類の処分に際しては、そのような見届けをしている事業者が多いと思います。

後から処理ラインを止めて、そこに入った廃棄物をわざわざ取り出す処理業者はまずいないと考えられますので、これが一番確実な方法です。

残りの「3 契約違反に対してペナルティを科す」は、契約によって廃棄物の完全処理を担保させるものです。

心理的なプレッシャーを与える手法ですので、これのみで横流しを完全に防ぐことは無理かもしれませんが、そのような規定を契約で定めること自体には労力が必要ありませんので、他の手法と合わせて取り入れていただくとよろしいかと思います。

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