会社の利益のために不法投棄をした場合でも・・・
北海道乳業の従業員が、ヨーグルトの製造過程で発生する余剰シロップを安く処分するため、農場経営者に対して農場にシロップを不法投棄させた容疑で、逮捕されました。
その後、逮捕された従業員と農場経営者に対し、初公判で懲役刑が求刑されました。
札幌テレビ ※ニュース映像を動画で見ることができます
裁判では、不法投棄実行者の他に、北海道乳業社に対し、1500万円の罰金が求刑されています。
北海道乳業が不法投棄を指示していたのか、それとも従業員が独断で不法投棄を実行したのかはわかりませんが、いずれにせよ、廃棄物処理法には「両罰規定」が存在しますので、使用者として北海道乳業に罰金が求刑されてもおかしくありません。
サラリーマンの方に注目していただきたい記述を、函館新聞から抜粋します。
取締役総務財務部長は「認識不足が招いた結果だが、組織ぐるみの関与は一切ない。事件が起きたことは真摯に受け止め、二度とこのようなことがないよう再発防止に努めたい」と話していた。
不法投棄を指示した社員は、恐らく私利私欲を図るために不法投棄を考え付いたわけではないと思われます。
会社の利益を増やしたいという動機に基づき、廃棄物処理法の規定を軽視して、悪意無く不法投棄を実行してしまったのではないでしょうか。
動機としては「会社のために」やったことなのに、会社からは「組織ぐるみの関与は一切ない=社員の個人的犯行」と、あっさり断罪されています。
もちろん、会社としてはこう言わざるを得ないところですが
もし、自分がその従業員と同じ立場で、同じ行為をすることを求められたら・・・
少し、やりきれない気持ちになります。
私はいつも講演の際に必ずこうお話しします。
「法律を学び、実務で違反をしないようにするのは、会社のためではなく、皆さん自身の暮らしを守るためでもあります」と
法律を知らなかったで済ませてしまうと、いつ何時、自分自身とご家族の暮らしが根底から崩れるかわかりません。
今回の事件でも、自分のやっていることが「不法投棄の指示」に当たることを知っていれば、これだけ大量にシロップを不法投棄することも無かったのではないでしょうか。
今回は、長期間、かつ大量にシロップを不法投棄し続けていたため、従業員に対して2年6ヶ月という非常に重い懲役が求刑されています(不法投棄を実行した農場経営者の1年8ヶ月よりも重い!)。
最低限、自分がやっている仕事の内容に関する法律の規制を、熟知しておく必要があります。
法律を知っているか、知らないかだけでも、あなたとご家族の運命が変わります。
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2009年5月14日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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