環境省による静脈産業海外展開支援

5月31日付で、環境省から 「平成23年度静脈産業の海外展開促進のための実現可能性調査等支援事業」対象事業の選定結果について(お知らせ) が発表されました。

以下、環境省の発表内容を全文転載します。

「平成23年度静脈産業の海外展開促進のための実現可能性調査等支援事業」対象事業の選定結果について(お知らせ)

 平成23年度より実施する「静脈産業の海外展開促進のための実現可能性調査等支援事業」について、31件の応募があり、厳正な審査の結果、対象事業7件を選定しましたのでお知らせします。
1.「静脈産業の海外展開促進のための実現可能性調査等支援事業」について

 我が国静脈産業が海外において事業展開することを支援し、世界規模で環境負荷の低減を実現するとともに、我が国経済の活性化につなげるため、環境省では、平成23年度より「日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業」を実施しています。
 「静脈産業の海外展開促進のための実現可能性調査等支援事業」は、上記事業の一環として、我が国静脈産業による廃棄物処理・リサイクル分野における具体的な海外展開の計画のある事業について、実現可能性調査の実施等の支援を行うものであり、今年度より開始しました。
2.対象事業の公募と選定結果について

 平成23年4月19日から5月18日まで、本支援事業の支援対象事業を公募したところ、31件の応募がありました。これらの中から、有識者及び環境省で構成された「対象事業選定・評価専門家会合」による書類選考及びヒアリング審査を行い、別紙のとおり対象事業7件を選定しました。

採択された事業案件は、下記のとおりです。

「実現可能性調査支援」という回りくどい表現から、環境省の本気度を推し量ることができそうです。

「実現可能性調査」を1年かけて取り組んでいる時点で、既に他の国との競争に負けている気がします。

日本の競争力が置かれた現状から鑑みると
ここは「調査」ではなく、いきなり「支援」でも良かったのではないでしょうか?

採択された案件を眺めると、当然のことかもしれませんが、超大手の処理業者ばかりです。

率直な意見としては、目新しい事業はほとんどありません。
この事業内容であれば、既に国内でも事業化しているものばかりであるため、
生ぬるい「実現可能性調査」ではなく、いきなり現地進出と、現地向けのアレンジでも良かったと思います。

しかしながら、1件だけ目を引く事業がありました。

JFEエンジニアリング株式会社、住友商事株式会社、株式会社佐野環境都市計画事務所の3社が提案している
「マレーシア国クアラルンプール首都圏における都市ごみによる再生可能エネルギー発電プラント建設・運営事業及びリサイクル社会形成に向けての提言」です。

他の採択事業は、海外での廃棄物処理事業そのものや、リサイクル品の販売に止まっていますが、
この事業のみ、現地政府(or自治体)への政策提言を視野に入れています。

単なる施設や製品の売り込みだけであるならば、外国にとっては、わざわざ日本製の高い物を買う必要はなく、安い中国製や台湾製で十分ということになります。
実際、近年、台湾製の処理施設が日本でも安価で流通し始めています。

そういった製品の押し売りではなく、日本が長年の経験から蓄積した「知恵」こそが、諸外国が本当に欲しているものではないでしょうか。

また、その「知恵」こそ、日本だけが発揮できる独自性であり、
機械技術のように簡単に模倣できるものではありませんので、国際競争力となるものです。

既に、水道管理事業では、水道事業全体を一体管理できる外国の水道メジャーに苦杯をなめさせられたところです。

今後廃棄物処理事業を海外展開していくためには、機械の販促のみならず、
現地政府に対して、ルールや仕組み作りを支援することが不可欠だと考えております。

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