不法投棄をしていないのに逮捕?

最近、スポーツ紙からの記事の引用が続いております(笑)。

nikkannsports.com 暴力団組長夫婦を廃棄物処理法違反で逮捕 から個人名を削除して記事を引用転載します。(事例研究が目的で、容疑者が誰かは重要な論点ではないため)

 群馬県警は22日、廃棄物処理法違反の疑いで、指定暴力団山口組系組長(68)と妻の会社社長(51)を逮捕した。2人の逮捕容疑は09年10月、妻が社長を務める笠原工業が群馬県に産業廃棄物収集運搬業の許可を申請した際、組長が実質的な経営者であることを隠し、同11月、不正に許可を受けた疑い。県警によると、組長は「経営には関わっていない」と供述。妻の会社社長は認めている。

「暴力団だから逮捕されたんだろ」と思われた方はいらっしゃいませんでしょうか?

いくら暴力団の組長でも、日本では、「暴力団に所属している」という理由だけでは逮捕されません。

では、不法投棄や無許可営業をしたわけでもないのに、なぜ組長夫妻は逮捕されたのでしょうか?

実はこれ、比較的最近加わった罰則に抵触したためです。

平成17年の法改正で下記の罰則が追加されました

第二十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  略
二  不正の手段により第七条第一項若しくは第六項、第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の許可(第七条第二項若しくは第七項、第十四条第二項若しくは第七項又は第十四条の四第二項若しくは第七項の許可の更新を含む。)を受けた者

暴力団組長が実質経営者であるため、真面目に申請しても不許可になるのは間違いない
だったら、妻を社長として申請し、組長の名前は出さないようにしよう

という意図で、経営実態と異なる内容で申請をし、収集運搬業の許可を取得した時点で、
上記の第25条第2号の罰則の構成要件に該当してしまいます。

そのため、不法投棄や無許可営業をしたわけでもないのに、逮捕されてしまったわけです。

この罰則、行政書士にとっては地味に怖い規定です(笑)

親切心、というか目先の売上を重視するあまり、
許可の取得のみを目的とした虚偽申請をしてしまうと、
依頼者を犯罪者にするばかりか、行政書士の主導で虚偽申請が行われたような場合は、行政書士自身が罪に問われることだってあり得ます。

当事務所では、依頼者すべてに「あなたは暴力団関係者ではないですよね?」という質問をし、その他の欠格要件にも該当しないことを確認しています。

聞きにくい質問だと思いますが、依頼者を犯罪者にしないためにも必要な質問です。

当事務所では当たり前と思っていた措置ですが、
一般的な行政書士事務所の多くでは徹底されていない措置のようです。

来週大阪府行政書士会で講演するネタの一つが加わりました(笑)。

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