廃棄物処理コスト削減のための昭和電工の取組み

5月4日付の日本経済新聞に、
昭和電工が国内16拠点で発生した産業廃棄物を川崎事業所で集約処理し、年間5億円のコスト削減につなげる
という記事が掲載されていました。

廃プラスチックを高熱で分解し、アンモニアに加工・販売するそうです。

化学工業ならではの話かもしれませんが、川崎事業所の設備増強のための1億円というコストで、年間5億円の経費削減につながるそうですので、非常に効率の良い投資と言えます。

集約処理することで増えるコストとしては、産業廃棄物の運送費が考えられますが、処理後のアンモニアの販売までが視野に入っていますので、採算は十分合うそうです。

経営的にも、社会的にも望ましい話ですが、唯一困るのは、各事業所と取引をしている処理業者でしょうか。

数百万から1千万円単位で売上が減少するところもあるのではないでしょうか。

私も廃棄物処理企業の支援を生業としている以上、非常に悩ましい問題です。

排出事業者の傾向としては、自社処理や集約処理を増やし、外部への委託を絞っていくことになると思われます。

受け手の処理業者としては、廃棄物が来るのを座して待つだけでは先細りになっていきます。

とはいえ、処理業者自らが「廃棄物の処理量抑制をお手伝いします」とは、なかなか言い出しにくいのも事実。

しかし、今後の日本の成長余地を考えると、処理業者自身がこのような提案をしていかない限り、顧客の排出事業者とのつながりが自然消滅していく可能性が高くなっていきます。

逆説的ですが、やはり「処理量抑制をお手伝いします」という提案をしていくしかないと思っています。

そのための決め手としては、「運んでいくら、処理していくら」の単価ビジネスではなく、
「効率的な回収システムの提案」や「管理事務の簡素化」などの、システムを提供するというスタンスが不可欠であると思います。

従来のように設備投資一本槍では、肝心の委託量が計画よりも減少してしまうと、資金繰りが一気に悪化してしまいます。
昔は委託量は減るものではなく、増えていくものでしたが、
今は減っていくものと思った方が安全です。

廃棄物の外部委託が減る一方で、それに付随した新たな問題が必ず発生しますので、そこに狙いを付けることが必要です。

先進的な処理企業の中には、上記の問題に狙いを定めて取り組んでいるところがありますので、ブログ読者の処理企業の方は、是非そのような先進的企業の取組みを学んでいただければと思います。

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