小型家電リサイクルの先進事例in中部

正確な取材に基づいた実態を正しく伝える良記事だと思いましたのでご紹介。

朝日新聞 小型家電リサイクル、「中部モデル」全国に-産業振興の狙いも

 「使用済み小型電子機器再資源化促進法」(小型家電リサイクル法)の成立を受け、各地で携帯電話やデジタルカメラなどのリサイクルの機運が高まっている。中部地区は自治体と中間処理業者が一体となって促進法成立に先駆けて、小型家電の回収・再生を実践してきた。“コストのかかる廃棄物”から“循環できる有価物”へと転換させた「中部モデル」が、促進法成立を機に注目されている。

(中略)

 中部経産局は中部モデルの核となるリサイクルの普及・啓発組織「資源循環フォーラム」を11年に設立。現在38自治体とアビヅ(名古屋市港区)、トーエイ(愛知県東浦町)、トヨキン(同豊田市)、ハリタ金属(富山県高岡市)、三豊工業(富山市)、エコネコル(静岡県富士宮市)の6社が参加する。管内の参加自治体は全体の約25%を占め、同局所管外の長野、静岡、福井県内の3自治体も入会した。

各地域に経営基盤がしっかりした金属リサイクル企業がバランス良く存在していたことが、成功の最大の要因ではないかと思います。

また、そのリサイクル企業と、地元の自治体が強固な信頼関係を構築していたことも大きいと思われます。

中部地域以外でも、個別の企業レベルでは同様の取組ができるところは多いと思いますが、面的な広がりの中で、自治体とリサイクル企業が連携できているところは他に無いのが実情です。

 同フォーラムは12年度に、会員全体で前年度比25%増の2500トンという小型家電の回収目標を掲げる。これまでの取り組みに手応えを感じる中部経産局は「実は有価で売却できることを知らない自治体が多く、“発想の転換”を促したい」(環境・リサイクル課)という。同局によれば、小型家電は人口10万人当たり月間2―10トンが見込まれ、中間処理事業者への売却価格は一キログラム当たり0・5―21円が相場だ。

小型家電を有価で売却できると言っても、それを集めるコストや保管するコストの方が高いため、自治体の負担の方が多くなりますから、そう簡単には同じ仕組みを作れないと思います。

そこが一番のボトルネックですから、記事で紹介されている中部地域の回収方法は、ボトルネックをうまく回避できています。

 小型家電の回収ボックスを自治体が所定の場所に設置して満杯になったら事業者が引き取るほか、他の金属類と合わせて小型家電を回収するなど量をまとめる工夫をしている。

「小型家電のみを個別に回収する」のではなく、「市民に回収ボックスまで運んでもらう」か「資源ごみと一緒に小型家電を回収」すると、自治体の負担は大幅に減少されますので、持続可能なリサイクルを構築できそうです。

ただ、小型家電を回収するだけではゴミを多く集めたにすぎず、
リサイクル事業者において、効率的に有用金属などを取り出す設備が無いと、すべて絵に描いた餅になります。

そのため、リサイクル事業者に設備投資をしてもらうためにも、投資コストを回収できるように、自治体は配慮をする必要がありそうです。

また、資源ごみと一緒に小型家電を回収するような場合、
市民が出した廃棄物を横取りする「アパッチ」の問題にも対処する必要があります。

「アパッチ」達が、微量な有用金属を効率的に取りだす設備を持っているわけがありませんから、
再使用できないものは、彼らが再び投棄、あるいは廃棄物処理することになるからです。

促進法ができたからと言っても、このように色々な問題が山積みですが、
中部地域の成功事例を参考にして、我々も後に続きたいものです。

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