行政代執行2件の後始末記

沖縄県での講演を無事終え、昨晩21時過ぎに帰宅しました。

飛行機に乗れば、沖縄から2時間で大阪に着くという意外な早さの一方、伊丹空港から自宅まで1時間半もかかるというアクセスの悪さを再認識してしまいました。

さて、気を改めて、行政代執行の後始末に関する記事2件をご紹介します。

毎日新聞 岐阜・山林産廃不法投棄:損賠訴訟 岐阜市と元社長、250万円で和解へ /岐阜

 岐阜市椿洞の産業廃棄物不法投棄事件に関し、市が奈良県の元産廃業者に土壌汚染調査費用約870万円の損害賠償を求めていた裁判の控訴審で、市は元産廃業者から250万円を受け取って和解する方針を決めた。関連議案が11日、市議会に追加上程された。

 市産業廃棄物特別対策課によると、和解するのは「永松建設」の元社長。同社が既に存在せず、元社長の資産が少ないことから全額回収は困難と判断した。

 市は昨年5月、不法投棄事件の中心的な存在だった岐阜市の産廃中間処理業者「善商」と経営者ら6人に約3億6370万円の損害賠償を求めて提訴。岐阜地裁は同年9月、被告に全額の賠償を命じる判決を下したが、元社長は控訴していた。善商と残り5人は敗訴が確定している。

最近、産業廃棄物特措法の対応ケースを調査しているのですが、善商不法投棄事件は、青森・岩手県境不法投棄事件と並んで、委託者への責任追及が厳しく行われている事案です。

行政代執行という市民の血税を用いた尻拭いをする以上、不法行為の原因者の一端である委託者にも求償していくのは当然と言えます。

今回の件も、その一環として、原因者たちに行政代執行費用の求償を求めるものでした。

870万円の損害賠償請求額に対し、250万円を回収で和解というのは、それほど悪い回収率ではないと思われます。

市民の理解を得るためにも、原因者や委託者の責任を厳しく追及し、あらゆる手段を行使して代執行費用を取り戻すことが行政責任ですので、他の事案においても、同様の取組をすることが不可欠と言えるでしょう。

毎日新聞 四日市の産廃不法投棄:11日から行政代執行 覆土や排水工事など /三重

 国内最大規模の産業廃棄物が不法投棄された四日市市大矢知町の処分場跡地について県は、露出した産廃の覆土や排水工事などの行政代執行に11日から着手すると発表した。測量や地質調査、詳細設計などを行い、来年度から対策工事を実施する方針。

 跡地には、許可区域外への不法投棄分130万立方メートルを含め約262万立方メートルの産廃が投棄されている。県は07年1月、処分場を運営していた「川越建材興業」(同市)に対し、措置命令を出し、その後も計25回の指導を出した。しかし同社は命令に応じず、県は同社に履行する意思、能力がないと判断。今年7月には、地元自治会と市、有識者との協議で、具体的な工法について合意したことから、代執行を決めた。

 先月22日に公布された産業廃棄物特別措置法が適用されれば、代執行費の45%について国の補助を受けられるという。

こちらの事案は、これから行政代執行が行われていく現在進行中のものです。

三重県の公表資料などを読む限りでは、上記の善商不法投棄事件とは異なり、委託者への責任追及が厳しく行われているようには見えません。

当事者の特定をすること自体が困難という事情があるようですが、このようなケースでは、警察と連携して証拠資料を収集しないと解明が進まないのが現実です。

年月の経過とともに証拠が失われていくことになりますので、警察に動いてもらうのであれば、できるだけ早くというのが鉄則です。

釈迦の耳に説法だと思いますが、行政代執行をやるのであれば、税金の投入額をできるだけ少なくできるよう、当事者への求償をセットで考える必要があります。

そのためには、事案発覚後できるだけ早期に、警察と連携して処理委託に関わった当事者を特定させることも必要です。

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