養鶏場の存続か、最終処分場の設置か、それとも・・・

はじめてのクローズドシステム処分場―被覆型最終処分場の計画と事例

 

 

 

 

神戸新聞 山田錦への影響懸念 三木市が産廃処分場反対へ

 兵庫県三木市吉川町新田で計画されている産業廃棄物最終処分場の建設について、市は12日までに反対する意向を示した。計画をめぐって地元では賛否が分かれているが、市は建設予定地の下流域で生産されている酒米「山田錦」の風評被害への懸念などから、態度を明確にした形。薮本吉秀市長は「(建設の許可権限を持つ)県知事に反対の考えを伝える」と話した。

市会9月定例会で、薮本市長が議員の質疑に答えた。処分場建設を計画している事業者から、新田地区を通る市道の廃止申請が6月に市にあり、市は法令に基づき、同定例会に廃止案を提出している。しかし、市長の建設反対表明を受け、市会での審議が注目される。

建設予定地は北谷川の最上流部に位置し、約40年前から養鶏場が営まれている。地元新田地区の住民は長年、臭いや、大量のハエ、カラスなどに悩まされてきたという。

処分場計画が持ち上がったのは約5年前。養鶏場が経営不振に陥り、土地を畜産業者か、産廃業者に売却することになった。養鶏業者から、地区としての対応を求められ、選択を迫られた新田の住民は「苦しみ続けた生活から解放され、ごく普通に暮らしたい」と苦渋の決断で処分場の建設を選んだ。

しかし、下流域の住民や山田錦を生産する農家らは猛反発。2010年4月、8地区で「北谷川の環境を守る会」をつくり、同年8月には、建設に反対する3576人分の署名を県や市に提出した。市議会も建設反対で一致し、11年3月に意見書を県に出した。守る会の藤田正和代表(63)は「事故が起きれば取り返しがつかない。長年培ってきた山田錦への信頼を一挙に失いかねない」と語気を強める。

一方で、新田地区の新区長(54)は「(養鶏場の)臭いで窓も開けられず、苦痛の中で生活してきた。それなのに、市議会も市も建設に反対し、地区は孤立してしまっている」と肩を落とす。

薮本市長は「産廃処分場を否定するわけではないが、山田錦への影響が強く懸念され、行政としても建設には反対だ」と話した。

兵庫県三木市は、市長のコメントにもあるとおり、産廃処分場を全否定する自治体ではありません。

現に、三木市内には管理型処分場1ヶ所、安定型処分場2ヶ所の合計3ヶ所が立地しています。
※本当はもう1ヶ所安定が処分場があったのですが、そこは数年前に設置許可及び業許可が取消されました。

最終処分場には比較的寛容であった三木市ですが、「山田錦」という有名な酒米の産地でもあるため、山田錦生産地の上流域に最終処分場を設置することは認めないという意思表示をされました。

しかしながら、今回は処分場の地元の悲願として、養鶏場を閉鎖するための最終処分場を設置という側面がありますので、新田地区の住民の方へのケアも必要だと思われます。

Googleマップで現場と思われる地域の現状を見てみましたが、養鶏場のすぐそばにため池、あるいは沼のような場所があるようですので、そこを埋め立てる計画かと思います。
あくまでも概算ですが、約2~3万平方メートルの土地で、20~30万立方メートルの埋立量というところでしょうか。

新聞報道によると、設置が予定されている最終処分場は管理型処分場のようです。

管理型処分場の場合は、排水処理施設でどこまで排水を安全に処理できるかどうかが重大なポイントになりますが、
一般的な観念からすると、やはり山田錦の上流域には不適切な施設と言えるでしょう。

管理型最終処分場の価値や存在意義を否定するつもりはまったくありませんが、
ここは最終処分場にこだわるのではなく、他のリサイクル施設を設置するように計画を変更すれば、事業者としても顔が立つのではないでしょうか?

廃棄物処理法的には、設置基準さえみたせば最終処分場設置の許可申請が可能ですが、
近年は行政訴訟で司法から最終処分場の設置判断が否定されるケースが増えていますので、兵庫県としても慎重に判断をしたいところです。

一かゼロかという極端な結論ではなく、事業者と住民団体を交えた柔軟な話し合いの場を持つことを、関係者の皆様にはお奨めしたいと思います。

養鶏場で困っている住民の方が実際におられるわけですから、「養鶏場を廃止するためにはどうすれば良いか」という視点も必要です。

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