氷山の一角

毎日新聞 東近江の廃棄物処理不正:市、業者を告発 家庭ごみと偽り、事業ごみを処理 損害賠償請求も /滋賀

 東近江市の廃棄物処理業者が、契約先の事業ごみを家庭ごみとして処理し、処理費を同市に負担させていた問題で、市が同社を詐欺の疑いで東近江署に刑事告発していたことが22日分かった。また、市は同社を相手取り8989万円の損害賠償請求訴訟を起こす方針。

 市が報告した21日の市議会全員協議会に出席した市議によると、不正発覚後の今年5、6月のごみ搬入量を基準に、過去5年間に不正に免れたとみられるごみ処理費用を算出したという。

 ごみ処理を行う日野清掃センター(日野町)では、事業ごみの処理に10キロ当たり200円の手数料が必要だが、家庭ごみの費用は市が負担している。市は同社が事業ごみを家庭ごみと偽り処理費の支払いを免れていたとして8月29日付で刑事告発した。

 また、同社が所属する協同組合「クリーンネット東近江」は21日、同社を組合から除名する方針を決めた。組合は同社を含む市内4業者で構成し、市は家庭ごみの収集委託契約を同組合と結んでいる。除名により同社は家庭ごみの収集業務から除外される見通し。

生活系ごみは処理手数料が無料であるため、生活系ごみと称して、事業系廃棄物を無料で東近江市に処理させ、本来なら必要な1キロ当たり20円の手数料を着服したという事件。

古典的というべきか、原始的というべきか、残念ながら非常にありふれた犯罪です。

東近江市が取った法的措置は正当なものですから、それについては異論はまったくありません。
また、清掃工場に事業系廃棄物や産業廃棄物を不当に搬入することは、不法投棄と同視できる犯罪でもあります。

※筆者注記 事業系一般廃棄物は手数料を支払えば、清掃工場にもちろん搬入できます。
 ここの「不当」というのは、無料で勝手に持ち込むという意味での「不当」です。

ただ、ありふれた犯罪と先述しましたように、この手の着服行為は、全国津々浦々の地方自治体において、大なり小なり行われているものと思います。

もちろん、「広く行われているので問題にはならない」と言いたいわけではありませんが、

この手の犯罪を防ぐためには、地方自治体の清掃工場で展開検査を密にするしかなく、それを徹底しすぎると、廃棄物処理の効率が著しく低下します。

そのため、現状では、業者のモラルに期待して、「生活系ごみ以外のものを違法に混入させることはしないだろう」という前提で、廃棄物の受入をするしかありません。

大阪市などはかなりのコストをかけて、清掃工場ごとに展開検査装置を設置し、頻繁に搬入物の展開検査をしていますが、財政規模の小さい自治体はそのような設備を導入するのは困難です。

一般廃棄物処理業界は、地域の特性や、自治体の組織体制の問題などから、地域ごとに業者の発言力が大きく変わります。

実際に自分で見聞きした事例ですが、産業廃棄物を清掃工場に持ち込んで、それを自治体の負担で処理させることを「既得権益」のように思っている一般廃棄物処理業者もいました。

今回の東近江市の法的措置が先例となり、自治体と一般廃棄物処理業界の関係が適切に見直されるきっかけになることを期待しています。

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