大阪市の宿願

大阪市で、一般廃棄物処理事業の民間委託化に関するパブリックコメントの募集結果が公表されました。

府市統合本部 「経営形態の見直し検討項目(A項目)」および「類似・重複している行政サービス(B項目)」の基本的方向性(案)に対する府民・市民意見の募集結果(一般廃棄物)

出されている意見は、「民間委託によってサービスが低下するのではないか」「民間委託反対」という2種類になります。

それに対する大阪市の回答が、『ごみ収集輸送事業については、「民でできることは民へ」の視点に立って、公共サービスの更なる効率化や経費削減を図るため、民間委託の拡大など「民間化」の検討とともに現業職員の非公務員化についても進めていきます。』という、ほぼ同じフレーズを繰り返すだけの壊れたラジカセ状態なのが残念です。

しかし、気で鼻をくくった物言いに終始していることから、逆に大阪市の本気度(どう言われても民間委託化を進める)がうかがえます。

行政コストから考えると、現状の年収700万円の職員が3人同乗してごみ収集をするよりも、年収300万円の作業員2名で同じ内容の作業を行う民間事業者に委託をする方が、必ず安くつきます。

そのため、大阪市のみならず、今後の地方自治体においては、民間委託以外に選択肢が有り得ないのが現実ですが、
大阪市の特徴としては、民間委託の門戸開放を完全に自由化する方針であることです。

多くの自治体は、民間委託を進める場合でも、既存の一般廃棄物業界団体に委託を増やすだけですが、
大阪市の場合は、それを飛び越えて、一気に新規業者の参入も認める方針のようです。

既存の業団体にとっては、既得権の侵害に他ならない施策になりますが、産業廃棄物処理業その他の他業態では自由競争が当たり前ですので、自由化こそが自然な流れと言えるでしょう。

このように、長期的には各地で民間委託が加速していくものと思われますが、
短期的には、新規参入者と既存業者との間で、熾烈なダンピング合戦が強まることが予想できます。

あまりに行き過ぎたダンピングは、廃棄物の不法投棄につながることが歴史上証明されていますので、
大阪市は民間委託によって浮いたコストの一部を、不法投棄の監視費用に回す必要がありそうです。

最後に、民間委託を一気に加速させたのは橋下市長ですが、
大阪市において、民間委託の動きが進められていたのは、数代前の市長時代からですので、
大阪市の宿願がやっと成就することになります。

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