国土交通省設置の最終処分場の不備

上毛新聞 産廃処理場に不備

 国土交通省が中之条町に設置している産業廃棄物最終処分場で、法律で定められた雨水の流入を防ぐ溝などの設備が足りず、処分場建設の許可権限を持つ県が、設置者である同省に対して改善を求める行政指導を行っていたことが3日、分かった。会計検査院の調査で施設の不備が判明。県が国を行政指導するのは異例で、国交省は、指摘を受けた溝を本年度中に完成させるという。

国と言えど、産業廃棄物処理施設を設置する際には、都道府県知事の許可を受けなければなりませんので、群馬県が施設設置者である国土交通省を指導するのは異例でもなんでもなく、通例のことです。

 処分場は、同法で外周に溝を掘る対策が必要と定められている「管理型」。中之条町入山の品木ダムの湖底からさらった汚泥を捨てるため、国交省が2003年、県に設置を申請し、06年に使用を始めた。

 検査院や県が調べたところ、処分場は溝の一部がなく、周辺の斜面から雨水が流れ込んでしまう状態だった。このため県はことし7月、国交省に対し、すぐに溝を作るよう求めた。

この溝は、「法第15条の2第2項、第3項」及び「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」に基づく、技術上の基準の一つです。

ここで一つ疑問が起こるのですが、
「埋立地周囲の地表水が流入するのを防止するための開渠」などは、管理型最終処分場を設置する際に不可欠の設備ですから、当初から開渠などが存在しない場合、群馬県が許可をするとは思えません。

可能性としては、
「群馬県が開渠の不備を見落とした」のか、
「当初はあった開渠の一部に破損や詰まりが生じた」のかのどちらかだと考えられます。

新聞報道の表現では、最初から開渠の一部が無かったかのように見受けられます。

そのため、他の新聞報道も検索してみると、より詳しく報道されている記事がありました。

毎日新聞 品木ダム汚泥処分場:県が国交省に行政指導 側溝、計画の1割のみ /群馬

 草津白根山から流れ出る酸性水を中和する品木ダム(中之条町)の汚泥を埋め立てる最終処分場が廃棄物処理法の基準を満たしていないとして、県が7月、同ダムを管理する国土交通省関東地方整備局に対して行政指導を行っていたことが3日分かった。会計検査院も検査に入り、国交省への指摘を検討しているという。
 同整備局品木ダム水質管理所によると、同ダムでは湯川などを流れる酸性水にアルカリ性の石灰を投入し、中和する。これにより、たまった汚泥(年間約1万5000立方メートル)を湖底からかき出し、セメントと混ぜて、近接する最終処分場に埋め立てている。
 最終処分場は、面積約3万6000平方メートル、容量約32万6000立方メートル。周辺水域や地下水の汚染を防ぐため、外周を覆う側溝を造ることなどが定められている「管理型」。しかし、県が7月に行った立ち入り調査で、外周の側溝が計画の1割しか整備されていないことが発覚した。県は早期の整備を指導し、同管理所も年度内の整備を目指し、測量作業を終えたという。
 県によると、04年3月に同ダム設置を許可し、05年5月に使用前検査を実施。側溝はなかったが「埋め立てに伴って側溝整備を進める」ことを確認し、06年11月から埋め立てが始まった。ところが、その後は検査を行わずに放置。県は「引き継ぎが不十分だった」と釈明している。
 一方、同管理所は「当初の計画通りに側溝整備を進めている。県の指導にも従っており、違法とは認識していない」としている。

やはり、群馬県の対応に問題があったようです。

本来なら、開渠の不備は即、改善命令を出してもおかしくないものですが、群馬県側にも後ろめたい事情があったため、行政指導に落ち着いたようです(笑)。

2005年5月に使用前検査を受けていますから、少なくとも会計検査院の監査の前に、群馬県は定期検査を1回は行っていないといけない計算になりますが、その定期検査でも違反を見落としたということなのかもしれません。ひょっとすると、立入調査と言う表現が定期検査のことかもしれませんが。

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