施主の了解があれば廃材の混入は自由にできるのか?

12月21日付読売新聞 アパート隙間に廃材不法投棄、大工7人不起訴に

千葉県などのアパートの外壁と内壁の隙間に廃材を埋めて捨てたとして、千葉県警に4月、廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で書類送検された大工の男性7人について、千葉地検は20日、いずれも不起訴(嫌疑不十分)としたことを明らかにした。

 処分は11月2日~12月19日で、理由について地検は「みだりに捨てたと認定するには難がある」としている。

会社名が書かれていないため、事件の概要がよくわかりませんが、
送検時期と千葉県というキーワードから推測すると、あの事件かなあという推測はできます。

その推測に基づき当時の事件報道を抜粋すると、事件の概要は次のとおりとなります。

 捜査関係者によると、投棄の疑いがあるのはここ2~3年に建てられた県内のアパートなど計5棟。外壁と内壁の隙間に、石こうボードや木材が入れられていた。
 県警に対し、同社支店は「防音効果を高めるため、オーナーに了解を得て入れた」と説明したという。県警は、廃棄物の処理費用を減らすために行った可能性もあるとみている。

事件自体は不起訴処分で終息しましたから、それをことさら問題視するわけではありませんが、
壁の隙間に廃材を埋める行為が不法投棄にあたるかどうかは、議論の余地があると思います。

当ブログでも、「みだりに」という要件については簡単に考察済みです。
「みだりに」とは

検察の判断としては、
・オーナー(施主)の了解があった
・本社及び支社が廃材を埋める施工を指示したわけではなかった

という2点から、不起訴に流れたものと思われます。

ちなみに、当該ハウスメーカーは、千葉県から措置命令などの行政処分は受けていません。

今回は上記のような事情があったにせよ、行為の外形的には、不法投棄に該当する面が非常に大きいと思われます。

新聞の短い説明だけでは、
「施主や地主の了解があれば、廃材の混入や埋戻しが自由にOK」と、誤った解釈をされる危険があります。

あくまでも、今回の事件は特殊なものであり、不起訴になったのは偶然が積み重なった結果と考える必要があります。

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