下取回収と廃棄物処理のはざま

1月30日付の日本経済新聞に、「フレックスジャパン、シャツ通販でリサイクル 環境配慮PR 」という記事が掲載されていました。

日本経済新聞のサイトには「有料会員限定」と書かれているので、記事の一部だけ引用します。

 自社の通販サイトや直営店舗での購入者を対象にリサイクル用の封筒を提供。購入者は封筒に不要になったシャツ1枚を入れ、コンビニエンスストアなどに持ち込むと、送料無料で回収してもらえる。店頭で不要な衣料品を引き取るサービスはあるが、ネット販売でのリサイクルは珍しい。

 シャツのリサイクルは環境ベンチャーの日本環境設計(東京・千代田)の「FUKU―FUKUプロジェクト」を利用する。廃棄処分されることが多い衣料品を回収し、バイオエタノールなどとして再利用する仕組みで、大手小売業などが利用を始めている。

 回収にはヤマト運輸のメール便を使い、利用者が手軽に発送できるようにした。リサイクル費用や運送費はフレックスジャパンが負担する。年間で1200枚程度のリサイクルを見込み、年間の処理費用は数百万円と見積もっている。

今時天然繊維100%のシャツというものはそれほど多く流通していませんので、化学繊維がどうしてバイオエタノールになるのかまったく理解できませんが、綿などの天然繊維が多い服だけを選り分けて、リサイクルするということなのかもしれません。

試み、あるいはビジネスモデルとしては面白い面がありますが、リサイクルフローの不透明さに幻滅しました。

現実性に乏しいリサイクルではなく、出口がハッキリと見えるリユースとして打ち出した方が、社会からより大きな支持を受けるのではないかと思います。

あえて不透明さには目をつぶりつつ、「廃棄物処理法の規制に風穴を開けたい」という理念をお持ちなのであれば、少しばかり応援したい気持ちもあります(笑)。

応援というわけではありませんが、勝手に法的論点を考えてみたいと思います。

回収物は廃棄物か否か

消費者の認識は、「不要物なので封筒に入れて回収してもらう」というものなので、明らかに廃棄物に該当します。
また、事業活動に伴って発生するものではありませんので、当然一般廃棄物になります。

この論点の存在によって、自治体(もっと言うと担当者)ごとに、この事業に対する判断が分かれることになります。

「一般廃棄物である以上、回収するヤマト運輸には一般廃棄物収集運搬業の許可が必要」という自治体と、
「服は専ら物に当たるので、一般廃棄物収集運搬業の許可不要」という自治体の2種類です。

今回のケースは、古着としてリユースしたり、バイオ燃料(?)としてリサイクルされるのはごく少数だと思われますので、専ら物と言えるのかが疑問に思われます。

私の個人的見解では「廃棄物」ですが、人によってかなり解釈が分かれるテーマでもありますので、議論がしにくいのも事実です。

下取回収か否か

下取回収とは、
販売事業者などが、商品の販売と引き換えに旧製品を無償で回収する行為で、
販売事業者がその旧製品を自社に持ち帰る際に、収集運搬業の許可不要で行うことが認められています。

昭和54年11月26日付環整128号、環産42号
問29 いわゆる下取り行為には収集運搬業の許可が必要か。
答 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。

ただし、許可不要というのは廃棄物処理法には一切書かれておらず、旧厚生省と現環境省の通知文のみに書かれている単なる行政解釈です。

「あえて法律化することもない」ということだろうと思いますが、現在では解釈の結果がバラバラになっている以上、そろそろ法律として明文化する時期ではないかと考えています。

当初の論点に戻りますが、
商品の購入者に限定したサービスのようですし、無償で回収をしている以上、下取回収に該当します。

ただし、メール便でシャツを運搬するヤマト運輸は単に運送を行うだけの事業者であるため、下取回収の主体ではありません。

従って、自社の廃棄物ではなく、他者(消費者、あるいは下取主体のフレックスジャパン)の廃棄物を運搬する許可が必要となります。

その許可とは、一般廃棄物収集運搬業許可ですので、シャツを運ぶ可能性がある全国の市町村から許可を受けねばなりません。

これはハッキリ言って現実的に不可能です。

と、厳密に考えると、上記のような問題があるため、事業が一歩も進まなくなります。

あえて解釈せずに断行しているのか、それとも考慮する必要性すら感じていないのかはわかりませんが、大変多くの企業が、同種の事業を既にやっているのも事実です。
また、そのことに関して、自治体から指導が入ったということも聞きません。

廃品の無人回収と同様、詐欺や不法投棄に結び付かない限りは、自治体にとっても相談されたくない案件と言えるかもしれません。

とはいえ、違法な点があるのも事実ですので、同種の事業を断行する場合は、慎重な法律判断をお願いいたします。

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