監視カメラの効果と限界

2月15日付 読売新聞 不法投棄、県がカメラでの監視強化

 廃棄物の不法投棄を防ごうと、県は2012年度から高性能カメラの設置による監視態勢の強化に取り組んでいる。13日には画像を基に県警が男2人を廃棄物処理法違反容疑(不法投棄)で逮捕するなど、これまで2件の摘発に結びついた。県は「不法投棄への厳しい姿勢を示して抑止効果を狙う」としている。

 県内で発見された不法投棄の現場は10年度は483か所だったが11年度には529か所と増加。これを受け、県は12年6月から夜間でも動きを察知して自動で撮影する赤外線ストロボ付きカメラを導入。希望する市町村に貸し出し、これまで延べ10か所に設置した。

 昨年11月には、住民の通報を受けて紀の川市内に設置したカメラが冷蔵庫やテレビを捨てる男2人や積んでいた軽トラックを撮影し、今月13日の男2人の逮捕につながった。昨秋にも、画像から田辺市内の山中に家庭ごみを捨てたケースが摘発されている。

 県循環型社会推進課は「ごみの撤去作業は自治体や山林所有者にとって大きな負担になっている。不法投棄が続く限り監視を強めたい」としている。

あまりにも多い不法投棄に業を煮やし山中に取り付けられた監視カメラによって、新たな不法投棄犯が逮捕されました。

今回はカメラの設置場所が良かったのか、運良く犯人の特定が可能となりましたが、設置角度の具合が悪いと車のナンバーが撮影できないことがよくあります。

また、せっかく置いたカメラを、不法投棄実行者によって破壊されることもしばしばです。

破壊されてしまうと撮影した画像を活用することもできないため、オンラインで撮影データを保存しているケースもありますが、その場合、不法投棄とは無関係の人物の映像も撮影してしまうことがあるため、個人情報の保護などが不可欠となります。

ところが、自治体の実態として、監視カメラが撮影した画像などに関しては、明確な個人情報保護方針を定めているところはほとんどありません。

もちろん、地方公務員には守秘義務がありますので、普通は職務上知り得た情報を外部へ流出させることはありませんが、人間には魔がさすということが必ずありますので、性善説のみで対処するのは危険と言わざるを得ません。

監視カメラの値段が昔よりも大幅に下がったため、比較的簡単に設置することも可能となりましたが、
費用対効果や管理コストの問題から、監視カメラの運用を止めたり、実質的に機能させていない自治体も増えています。

10年前にオンライン型の監視カメラを設置していた自治体を視察したことがありますが、
昨年その自治体に監視カメラの運用状況を質問したところ、「そんなカメラがあるとは知りませんでした」と言われました。

おそらく数百万円以上の経費をかけて設置をしていたはずですが、数年前に監視事業自体を中止していたようです。

自治体には、イニシャルコストが安くなったからと言って無駄な監視カメラをホイホイと導入しないようにしていただきたいものです。

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