木下工務店の危機対応について

2月5日に役員が逮捕された件に関し、2月8日付で木下工務店が声明を発表しています。
産廃物の不適切な処理に関する社内の調査結果につきまして

事件そのものはお粗末でしたが、公表内容を読むと、かなりレベルの高い危機対応能力だと思いました。

何に感心したかというと

1.事件が起こった経緯と原因を率直に説明
2.他に同様の違反がないかを調査し、その結果も公表
3.今後の再発防止策を表明するとともに謝罪

と、マスコミが知りたい情報を自ら公表することで、事態の悪化をシャットアウトすることに成功したからです。

危機対応のお手本とも言えるでしょう(笑)。

本当は、2の同様の違反がなかったかどうかについては、第三者が確認したわけではないので、疑問の余地が残ります。

もちろん、事件を起こさないことが一番重要なのですが、
起こってしまったことを変えることはできませんので、企業としては、いかに軟着陸するかを考えるしかありません。

その時に、嘘や憶測で説明をしたり、不都合な事実を隠したり、説明が二転三転したりすると、
事態の鎮静化どころか、火に油を注ぐことになります。

その意味では、今回の木下工務店の危機対応は、事態を鎮静化したという意味では満点に近いものだったと言えるでしょう。

ただし、危機対応をテクニカルな手法として浅薄な意識で実行すると、付け焼刃がすぐにこぼれることになります。

このような危機対応とは、単なるテクニックではなく、平常時からの企業理念や行動文化に大きく依存するものだからです。

木下工務店においても、おそらくは、社内部門だけで声明文を書いたわけではなく、有能な法律事務所などと入念な相談を重ねた上で、事後対応を図ったものと思います。

危機が起こってから有能なアドバイザーを探すよりも、
日々アドバイザーの品定めをしながら、自社の企業理念を理解してもらったうえで、ベストな解決策を提案してもらえるように、コミュニケーションを図っておくのが良いと思います。

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