無料回収だからいかんが、しかし・・・

3月4日付 中日新聞 家庭の不用品 無料回収 違法業者にご注意!!

 家庭でいらなくなった物を無料で回収する業者が全国各地で目立つ。便利で利用者も多いが、廃棄物処理法に違反した営業をする業者が多いのが実態だ。この現状に危機感を持つ環境省や自治体は「違法業者を利用しないで」と消費者にアピール。警察が強制捜査に踏み切る事例も出てきた。

 岐阜市西部の主要道路沿いの空き地に、同市やその周辺で無料で不用品を回収していた業者「ファイブエス」の回収所がある。テレビをはじめとした使用済み家電製品や自転車などが乱雑に積まれ、解体作業をした形跡もあった。

 岐阜県警は二月十八日、廃棄物処理法違反(一般廃棄物の無許可収集・運搬)の疑いで、この回収所などを現場検証した。無料で使用済み家電などを回収している業者への強制捜査は全国初。業者はチラシやのぼり旗などで住民に「無料回収」をPR。岐阜市や周辺にある五つの回収所に持ち込ませていた。

 家庭から出る一般廃棄物の収集・運搬業務は、自治体の許可が必要だ。しかし、ここ数年は無許可で不用品を無料回収する業者が各地に乱立。岐阜市内でもあちこちに回収所が設置されたため、市環境事業課は、業者らに説明を求めるなどして警告した。

環境省はともかくとして、自治体が無料回収業者の存在に危機感を抱いているとは到底思えないのですが(苦笑)。

無料回収業者に指導や警告などを行った岐阜市は素晴らしいと思いますが、残念ながら非常に珍しいケースだと思います。

自治体当局の本音としては、行政に出される粗大ごみなどが減るのであれば、不法投棄がされない限り、行政側にとってもありがたい存在であるからです。

 これでほとんどの業者は手を引いたが、ファイブエスは業務を続行。岐阜市は文書指導を繰り返し、環境省とも緊密に調整した。それでもらちがあかず、県警が強制捜査に乗り出した。環境省の担当者らは「問題の業者の活動は粘り強く、関係機関が苦労している」と話している。

一般的には、「粘り強く」という表現はどちらかというと肯定的な意味で使われることが多いため、違法業者に対して粘り強くという表現をするのは不適切だと思います(笑)。

違法営業が日常化しているのは、業者らが自治体の担当者などに「扱っているのは廃棄物でない」と主張するからだ。

実態として違法回収業者がはびこっている原因はまさにこのためです。
ただ、違法業者のみならず、自治体もこのような理屈で違法営業を黙認しているケースが多々あります。

その方が大きな問題なのではないでしょうか?
記事にもあるとおり、法的構成要件からすると、一般廃棄物処理業を持たない事業者が回収行為をした時点で違法行為となるわけですので、その気になれば、自治体はすぐに規制ができます。

 使用済み家電製品や、粗大ごみなどを正規ルートで処理してもらうときは、料金を取られることが多い。それに対し、不用品無料回収はいかにも便利だ。しかし、消費者は「違法営業に加担させられた」結果になり、それが広がると、正規ルートが狭まっていく恐れもある。環境省は、全国の自治体に「違法な不用品回収業者を利用しないよう、住民への普及啓発を強めてほしい」と要請している。

「いかにも便利だ」というのも少し軽い感じがしますが、経済原則からすると、無料で不用物を回収してくれる事業者は社会的便益の大きな存在と言えるかもしれません。

無料で回収しても儲けが後で出る以上、不用物ではなく有用物と考える方が妥当なのでしょう。

「無許可業者が無料で回収するからけしからん」というのは、廃棄物処理法だけに基づく善悪論と言えます。

ここはひとつ発想の転換をして、
無料回収業者を市町村の管理下において営業させてはいかがでしょうか?

市町村の敷地に無料回収場所を設け、そこで無料回収業者に環境に配慮した方法で仕分けをさせ、一定の地代と収益の数パーセントを市町村に納めさせるというものです。

市町村が一般廃棄物処理を委託する場合、委託相手に一般廃棄物処理業の許可は当然不要となります。
ただし、委託相手が継続して廃棄物処理事業を行えるかどうかを審査する必要がありますので、無料回収業者がその審査を満たすかどうかは微妙なところですが。

不用物が無料で処理できるのであれば、市民・自治体・事業者にとっても大きなメリットが生まれますので、どこかの市町村で実施していただければと思っています。

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