総事業費162億円の後始末3件

産廃特措法対象事業として、新たに3件の不適正処理事案が追加されました。
環境省4月9日付発表 産廃特措法第4条第4項の規定に基づく特定支障除去等事業実施計画に対する環境大臣の同意について(お知らせ)

○三重県桑名市源十郎新田事案(三重県) 総事業費51億円
○三重県四日市市大矢知町・平津事案(三重県) 総事業費34億円
○松山市菅沢町事案(松山市) 総事業費77億円

事業費のうち90%は特例地方債で賄われ、その半分つまり全体事業費の45%については国から交付税があてがわれますから、残り45%が地方自治体の借金となります。
そして、残り10%は地方自治体の一般財源からの負担となります。

事業費負担の割合は公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団サイトから転載

上記の3事案のうち、松山市菅沢町事案については、「菅沢町最終処分場制度検討部会」に第2回から参画しておりますので、ようやくここまで来たかという感慨があります。

通常は1年程度かけて行政措置の妥当性や、再発防止策をじっくり検討するのが通例ですが、産廃特措法の申請を平成25年3月までに行わないといけないという制約があったため、約4カ月ほどですべての問題点を検討するという異例のハイペースでした。
そのため、10回程度松山市に出張しながら、道後温泉に行く暇がありませんでした(笑)。

松山市は総事業費77億円の1割、約8億円を一般財源から負担しないといけませんので、8億円の財源を捻出するためには、既存事業のスクラップが大規模に行われるのかもしれません。
道後温泉は松山市の施設ですが、収益源にも成り得る施設ですので、是非素晴らしい建て替え計画を実行していただければと思っています。

↓下記リンク先が、松山市の支障除去実施計画です。(60p目に「制度部会委員」として氏名を掲載いただいております)
松山市菅沢町最終処分場不適正処理事案に係る特定支障除去等事業実施計画

関連記事で既に書いたところですが、
このような大規模な事案であっても、暴力団や不法投棄シンジケートが暗躍していたわけではなく、日々のちょっとした違法行為が積み重なって、問題が顕在化した時点では手に負えなくなっていました。

暴力団などのように外からそれと認識しやすい勢力なら、逆にすぐ問題と認識され、比較的迅速に対処されていたかもしれません。

それよりも、(行政から)見えにくい場所で細々と違法行為を積み重ねられてしまう方が度し難いと言えます。

見えない場所での不適正処理に対しては、それを何とかして「見える」ようにするしかありませんが、
そのためには、行政担当者が問題意識を常に持ち続けることが必要ですし、「困った問題は●●君任せ」などと属人的な対処をするのではなく、組織として行動するための手順書をまとめておくことも必要です。

簡単に見えますが、こういった地道な行動を重ねていくことが一番難しいのだと思います。

自治体間で、成功事例と失敗事例の両方を情報共有する仕組みがあると良いですね。

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