行政と住民の協働グランドデザイン

2013年9月2日 読売新聞 熊本の2廃棄物処分場跡にパークゴルフ場

 熊本市は、同市東区戸島町と同市北区釜尾町(扇田地区)の2か所の廃棄物最終埋立処分場跡地にパークゴルフ場を整備し、1日、それぞれ開場式典を開いた。

 戸島町の処分場は1971~78年、釜尾町の処分場は84~2007年に市内で出た焼却灰やごみなどが埋め立てられた。市は跡地利用について地元住民らと協議し、要望の多かったパークゴルフ場を「戸島ふれあい広場」「扇田ふれあい広場」として整備した。総事業費は約9億8000万円。

 パークゴルフは直径6センチのボールをクラブで打ち、同20センチのカップにいれるまでの打数を競うスポーツで、子どもから高齢者まで楽しめる。

 扇田ふれあい広場で開かれた式典には、幸山政史市長、地元住民ら約70人が出席。幸山市長は「ゴルフ場を地域の活性化につなげられるよう市として努力したい」とあいさつ。この後、真新しいコースで試し打ちをして開場を祝った。

 両施設とも18ホールの芝生のコース(いずれも100メートル以内)を設けた。市外の人も利用でき、料金は大人500円、高校生以下200円。クラブとボール一式のレンタル料は100円。

廃棄物処分場跡地を有効活用するため、熊本市と熊本市民が協議を重ねた結果、パークゴルフ場として再整備したとのこと。

地方自治の観点からは、この行政と市民がどうやってコミュニケーションを図り、共通の目的達成のために協働したのかに大変興味があります。

行政からの一方的な押し付けではなく、
住民からの要望のごり押しでもない、
地域のために最善と考えられる着地点を一緒に見出した取り組みは、
今後他の地域にとっても大いに参考にするべき事例と思われます。

特に、廃棄物処分場や焼却場は、一般的には迷惑施設としか考えられない施設ですが、
本来は地域の公共福祉のために必要不可欠な施設です。

設置時に、跡地の利用を含めた地域デザインの青写真を行政と住民が協働して作るようにすれば、
住民側も施設の必要性について納得できるのではないでしょうか。

このように官と民が協働してグランドデザインを考える取り組みは、まだ緒に就いたばかりですが、問題解決の技法としては、大きな可能性を秘めたものだと思います。

さて、礼賛で終始しては面白くありませんので、気になった点も挙げておきます。

それは、約10億円という事業費の高さ。

熊本市単独で全額を負担するのは大変でしょうから、何らかの国庫補助メニューを活用して設置したのだろうと思います。

無駄な箱モノにならないよう、ゴルフ場の十二分な活用をお願いしたいところです。

報道写真を見ると、芝生を貼ったかなり綺麗なパークゴルフ場に見えますが、芝生の維持管理にもそれなりの経費が掛かりますので、

熊本市のお荷物施設にならないようにするためには、
1.芝生の管理をほとんどしない
2.利用者を一定数以上に維持し続ける  しかありません。

熊本城を訪れる観光客を、パークゴルフ場に誘う導線が引ければ、2の課題を簡単にクリアできるかもしれません(笑)。

熊本城はそれだけの魅力がある観光資源だと思います。

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