消防署に事前連絡をしても野焼きは違法です

違法行為と罰則の関係性を考えるのに格好の実例が出てきてくれましたので、ご紹介します。

毎日新聞 2013年09月10日 地方版 廃棄物処理法違反:「野焼き」罰金50万円 消防への事前連絡「所管官庁ではない」−−下関簡裁判決 /山口

 下関簡裁は9日、自宅近くで丸太や枝を燃やしたとして廃棄物処理法違反の罪に問われた下関市菊川町の男性(61)に求刑通り罰金50万円を言い渡した。男性は事前に消防に焼却を連絡していたが、判決は「消防署は屋外焼却の可否の所管官庁とはいえない」などと述べ、男性側の無罪の主張を退けた。

 一方、下関市火災予防条例は、火災と紛らわしい行為をする際には、事前に消防署に届け出ることを義務づけている。男性は「判決には納得できない。控訴したい」と話した。

 判決などによると男性は2012年8月、自宅の道路向かいに借りている空き地で、空き地の樹木や枝計約500キロを約2時間にわたって焼却した。長府署が任意で捜査し立件した。

 男性は公判の中で、焼却前に豊浦東消防署菊川出張所に電話したが、応対した職員に焼却を止められなかったことなどを挙げ「違法とは思わなかった」と無罪を主張していた。

 これに対し、判決は「被告は市の清掃当局や警察署などに問い合わせていない。消防署は屋外焼却の可否についての所管官庁とはいえない」とした。さらに羽生真裁判官は説諭の中で「確かにどういうことがいい、悪いを知らない人は多いが、決められたことに違反したことは違法と判断した」と説明した。

 廃棄物処理法は「農林漁業のためやむを得ない」など制令で定めた一部の例外を除き、廃棄物の焼却を禁じている。一方、判決が問い合わせ先として例示した市の清掃当局は「問い合わせがあれば助言するが、そもそも役所が野焼きを許可する制度はない。合法かどうか保証するものではない」(下関市廃棄物対策課)としている。

 また、下関市の条例は「火災と紛らわしい行為」を前提にしている。男性の電話に応対した消防職員は証人出廷し、焼却を止めなかったことを認めたが、市消防局予防課は「消防署に届け出たことで屋外焼却の許可を得たと勘違いされては困る」と説明している。

下関市廃棄物対策課のコメントに大きな違和感を感じますが、記者が引用する中で、発言のニュアンスが変わってしまったのかもしれません。

でも、念のため補足。

行政の清掃当局としては、「野焼きをしたい」という相談があった場合、廃棄物処理法の罰則を説明し、相手に野焼きは禁止であることをわからせるべきです。

その上で、市が回収できるゴミの出し方を案内し、生活環境保全上の支障が出ない方法でゴミ処理を進めるべきです。

記事のコメントでは「助言」という、他人事であるかのような言葉が使われていますが、生活系一般廃棄物については、市も当事者の一部に当たりますので、もう少し踏み込んだ対応が必要だと思います。

さて、野焼きを何回していたのかはわかりませんが、罰金50万円というのは量刑の相場的には高いものに思えます。

裁判官の説諭にもあるとおり、行為者は野焼きが違法であることを知らずにやっていたのだろうとは思いますが、
法律の知・不知で罰則の適用は左右されないというのが、刑法典の基礎的な前提条件です。

野焼きであると、「なぜ今時そんな目立つことをわざわざやったのか?」と思われる方が多いと思いますが、
契約書で法定記載事項を網羅せずに産業廃棄物処理委託をすると、委託基準違反となり、野焼きと同じように廃棄物処理法違反となります。

繰り返しになりますが、廃棄物処理法と接する際に重要なポイントの一つは、
法律の知・不知で罰則の適用は左右されない です。

まずは、法律の罰則を正しく理解することから始めてください。

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