東京電力が廃石綿を不適正処理

東京電力が、自社の火力発電所の補修工事を行った際に、レベル2の作業レベルに当たる保温材(廃石綿)を、特別管理産業廃棄物としてではなく産業廃棄物として委託処理していたことが発覚しました。

2013年9月9日 東京電力プレスリリース 広野火力発電所における石綿を含有する保温材の不適切な処理について

本来なら、重大な廃棄物処理法違反にあたるため、もっと大きく取り上げてもおかしくない事件なのですが、汚染水の流出等のそれ以上に大きな不始末に目を奪われたのか、新聞報道は事実を淡々と綴るだけとなっています(苦笑)。

毎日新聞 2013年09月10日 地方版 アスベスト:石綿含む保温材、一般産廃で処分 広野火発で1年半 /福島

 東京電力は9日、広野火力発電所(広野町)で約1年半、最大4・4%のアスベスト(石綿)を含んだ保温材計771立方メートルを一般の産業廃棄物として処理していたと発表した。石綿の含有を記した管理簿を確認しなかったためで、作業員は石綿を防ぐマスクをしていなかったという。

東電は「今のところ健康被害が出たとは聞いていない」としている。

1年かそこらで健康被害が出る物質ではないのが問題なのですが・・・

このずれたコメントは、東電本体の社会からかい離した状況を如実に表しています。

東電のプレスリリースでは、保温材は溶融処理したそうですので、スラグとして安定化できたのだけは良かったと思います。
(とはいえ、石綿の溶融施設の認定を受けた施設かどうかは不明ですが)

ただ、工事現場で作業をしていた作業員は、石綿用の防塵マスクをしていなかったとのことなので、20年以上後になって初めて石綿による健康被害が顕在化する可能性があります。

その人たちが健康被害を訴えた時、東電は「工事と直接の因果関係は無い」と言い切るのでしょうか?

下記の画像は、保温材の例として、国土交通省の「目で見るアスベスト建材」から転載しました。

 東電によると、2011年10月〜13年3月の3回にわたり、タービン建屋などにある配管の保温材取り換え作業を実施。協力企業の作業員延べ330人が参加した。

 同発電所は津波で事務所などが浸水。東電社員が保管していた管理簿も流出したと思い込んでいたが、今年7月に同じ社員が移設先の事務所の書庫で管理簿を見つけた。保温材は県外で処分したという。

管理簿は後で結局見つかったため、石綿の存在に気付いたわけですが、
管理簿が無いと思っていたなら、なぜ工事の前に改めて石綿の含有有無の調査をしなかったのでしょうか。

安全を軽視していると言われても仕方がないミスです。

社員の個人的な判断ミスというよりは、これは東電の組織的な問題の一部と考える必要があります。

東電のプレスリリースでは、

今後、石綿が含有している可能性のある箇所の工事を実施する前には、石綿含有の有無を必ず確認することを関係者に再度周知するなどして、再発防止に努めてまいります。

と、精神論的な対策しか打ち出されていません。

個人の注意や意識のみに依存する安全対策ではなく、事故を起こせないような仕組みを作って対応するのが、現代の安全対策の主流であるはずなのですが・・・

東電では、いまだに、根性論のみで安全対策を図るのが主流のようです。

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