特措法事案の後始末(福井県敦賀市)

福井県敦賀市の産廃特措法事案の後始末費用に関するニュースです。 敦賀市民間最終処分場に係る特定支障除去等事業

2013年9月10日午前0時00分 福井新聞 敦賀ごみ問題、搬入団体に協力金請求

 福井県敦賀市樫曲の民間ごみ最終処分場問題で、一般廃棄物を違法に持ち込んだ県外の自治体や行政組合など二十八団体に、行政代執行費用の一部負担を求めていた同市は十日、各団体の担当者を市役所に集め、搬入量に応じた計千十八万円を「協力金」として請求した。各団体は即答を避けているが、市は粘り強く要請していく構え。市によると、一般廃棄物の排出者責任を問うのは全国で初めてという。

協力金の支払いについては、2009年からもめ続けているようです。
2009年3月4日 読売新聞 過去類似例では訴訟も<上>

2009年の時点では分担金請求先が60団体でしたが、今回は28団体とのことですので、差し引き32団体は協力金を支払い済みということなのでしょうか。

福井県内の自治体だけではなく、栃木県や長野県の行政組合も一般廃棄物を搬入していたとのことなので、広範なエリアにまたがる問題となっています。

 協力金を求めたのは、違法増設が認められると判断した一九九六年以降、一般廃棄物約三万六千トンを搬入した全国二十八団体。廃棄物処理法に定められた市との事前協議がなかったことを根拠とし、今年一月以降、説明会や個別交渉で協議を進めてきた。負担額は県がこれまで支出した代執行費用計二億五千四百二十六万円を基に、九六年以降に持ち込まれた産業廃棄物を含む九十万四千トンを分母とし、各団体の搬入量に合わせて算出した。最も多い団体で二百二十一万円、最少で七千円となっている。

 この日の費用協力会議には、当初から負担に難色を示している二自治体を除く二十六団体が出席。河瀬一治市長は「ごみ問題は将来的にどうなるか分からず、大変苦慮している。法的な規定を待つまでもなく、応分の費用負担を願いたい」と要請。市担当者が算出の経緯を説明した。

 これに対し、各団体は「事前協議の有無にかかわらず、環境悪化は(違法搬入前を含む)すべてのごみが原因ではないのか」「事業者や(違法増設を)黙認していた県にも責任はあるはず」などと反発。市側は各団体に最終処理責任があることを強調し「節目が来るごとにあらためて協力を求めることもある」と、今後も新たな負担を求める可能性を示した。

 市廃棄物対策課は「一般廃棄物の排出者責任を問うケースは全国的にもほかにない。前向きな対応を待ちたい」と話している。県の代執行費用について同市は、四千二百七十六万円の協力金を支払うことになっている。

産業廃棄物の排出事業者責任とは違い、一般廃棄物を処理委託した市町村に対する責任追及規定がないため、搬入団体に協力金を支払う法的義務はありません。

上掲の読売新聞記事では、2009年当時の環境省担当者は

「『市町村は法律を順守し、自発的に支払う』という前提から、費用負担の条文を設けていないだけ。法的根拠がないとの解釈は誤りだ」

と言っていますが、条文としてそのような規定が置かれていない以上、法的根拠がないと言わざるを得ません。

「法的根拠がない請求に対して公金を支出するわけにはいかない」という、負担を求められた側の主張は正当なものだと思います。

しかしながら、直接的な責任規定がないとはいえ、自らが委託した廃棄物によって、反復継続して他の地域の生活環境を害したことは事実ですので、「工事費の負担」ではなく、「協力金」を支払うことは、支出をする自治体側の住民感情としても納得できる公金の支出となるのではないでしょうか。

ただし、
敦賀市としては、「節目が来るごとにあらためて協力を求めることもある」との思惑があるようですが、
そのような無制限の協力要請では、他の自治体の“協力”が得られにくいのではないかと思われます。

一番高いところでも221万円、安いところでは7千円という協力要請ですから、
どこか一か所でも協力金の負担に応じるところが出れば、他の自治体も応じやすくなるものと思います。

私が敦賀市の責任者なら、まずは7千円の協力金負担の一点突破を図り、その成功を持って他の自治体へ徐々に戦線拡大をしていきます(笑)。

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