シップリサイクル室蘭が気仙沼市で船舶解体に着手

宮城県気仙沼市に、東日本大震災の際に駅前に打ち上げられた漁船があったそうです。

一時は「震災遺構」としての保存が検討されましたが、被災体験を思い出したくないという市民の意見が多かったため、漁船所有者とNPO法人リップリサイクル室蘭が解体契約をしたとのことです。

2013年9月10日 室蘭民報 シップリサイクル室蘭が被災した漁船解体スタート

 NPO法人シップリサイクル室蘭(理事長・清水一道室蘭工業大学教授)は9日から、東日本大震災の大津波で宮城県気仙沼市のJR鹿折(ししおり)唐桑(からくわえ)駅前に打ち上げられた「第18共徳丸」(330トン)の解体に着手した。10月19日までに終了する見通し。

 初日は清水理事長ら関係者7人が現場近くの神社で安全を祈願。資材を運び込み仮設の事務所を置いた。今後、高さ約3メートルの仮囲いの設置や廃油・ガス抜きなどの事前作業を進め、16日から漁船本体の解体に入る。

 2010年(平成22年)に室蘭市で実施した自動車運搬船の解体実証実験では「ガス切断」を用いた。今回は「ラバンティ(はさみ状切断機)」を取り付けた重機を使い、工期の短縮を図る。

 第18共徳丸をめぐっては、津波の猛威を伝える姿を見ようと多くの人が連日訪れ、気仙沼市は「震災遺構」として保存を目指した。しかし、市民の間には「被災体験を思い出す」と撤去を求める声が多く、船主の儀助(ぎすけ)漁業(福島県いわき市)は同法人と解体契約を結んだ。同市のアンケート調査では約7割が「保存の必要はない」と答えていた。

 同社の柳内克之社長は「船があることで迷惑を掛けた一方、津波の驚異を伝える一定の役割を果たしたと思う」。震災当日に第18共徳丸が流されるのを見たすし店経営の清水直喜さんは「100年、200年先の子孫への教訓として残してほしかった」と話した。

330トンの漁船でも約40日間の工期で解体できるんですね。

もちろん、それはシップリサイクル室蘭が地道な解体実証実験を繰り返した成果であるのは間違いありません。

廃油やガス抜きを事前に行うことで、周辺の土壌や地下水を油で汚染するおそれもなさそうです。

当ブログでも繰り返しご紹介してきたところですが、
船舶の解体技術は、室蘭その他の複数の地域で実証実験が進められています。

今回の気仙沼での解体事業も、解体技術情報蓄積のための貴重な一例となりますね。

シップリサイクルの必要性や今後の展望については、
シップリサイクル室蘭理事長の清水一道教授(室蘭工業大学)のサイトでわかりやすく解説されています。
シップリサイクルプロジェクト

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