そして巨額の不良債権が残った

2013年10月5日 読売新聞 県、代執行費309億徴収を断念

◇岩手県境の産廃不法投棄

 (岩手)(青森)(2016.2.23 岩手県廃棄物特別対策室より、「岩手県ではなく青森県に関する報道です」とのご指摘をいただきましたので、青森県と修正いたしました。ご指摘ありがとうございました。)県は4日の県議会環境厚生委員会で、青森・岩手県境の産業廃棄物不法投棄問題について、県が行政代執行して撤去した費用約409億4000万円のうち、約309億7000万円の徴収を断念する見通しになったと報告した。不法投棄した八戸市の産廃業者「三栄化学工業」(清算手続き中)に差し押さえが可能な財産がないことが理由だ。

 国税徴収法では、差し押さえ可能な財産がないときなどは、徴収を断念する滞納処分の執行停止が認められており、今後新たな財産が見つからなければ、同法に基づき2016年10月に不納欠損処理する。国が特別措置法で財政支援をするため、県の負担額は約309億円のうち約112億円となる見通し。

 県の県境再生対策室によると、徴収を断念した費用は、03年度から12年度の期間にかかった費用の一部。残る99億7000万円は、同社の元社長らが連帯債務となっているため、差し押さえ可能な財産がないかどうか調査する予定で、県の負担額はさらに膨らむ可能性がある。

 この不法投棄問題は、田子町と岩手県二戸市にまたがる約27ヘクタールの原野に、「三栄化学工業」と埼玉県の産廃業者「県南衛生」が2000年までに、汚泥や焼却灰など大量の産業廃棄物を投棄した。県は04年に撤去作業を始め、これまでに約112万トンを撤去した。

309億円という巨額の撤去費用を、不法投棄実行者から回収するのは最初から不可能でした。

金が無いからこそ不法投棄に走ったのであり、最近では、不法投棄をすることで金儲けをすることは非常に難しくなっています。

不法投棄現場の規模が大きくなればなるほど、そこから廃棄物を撤去するための費用は雪だるま式に膨らみます。

雪だるま式に膨らんだコストの負担は都道府県と国と言うことになっていますが、
現実的には、住民とその他の国民・企業が納めた税金等が原資となっていますので、事実上国民負担で廃棄物の撤去をしているのと同じです。

青森岩手県境不法投棄事件では、排出事業者に対しても相当強い責任追及が行われましたが、
事業費全体と比べると、焼け石に水という印象です。

ただし、幸いにも、上述したように最近ではこういった大規模不法投棄事件が発生しにくくなっています。

法規制や監視活動が強化されたという理由もあるとは思いますが、
それよりも、「処理業者の数が増え、業者間で競争が激化したから」というのが一番大きな理由ではないかと考えています。

現在、廃棄物の種類によっては、正規の許可業者が、非常に安価な値段で引き受けてくれることが多くなりました。

もちろん、「安いが一番」とばかりに、処理業者に安値受注を強制し続けると、コスト負担に耐えられなくなった業者を不適正処理に追い込む可能性が高くなります。

そうなると、委託者としての責任が問われる事態になります(廃棄物処理法第19条の6に基づく措置命令)ので、安さを追求しすぎるのも危険です。

委託基準を自ら守り、現地確認を励行することが不可欠なのは言うまでもありません。

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