処理業者の処理業者による処理業者のための不法投棄

処理業者自身のコスト削減のために行う不法投棄は、実はそれほど多くありません。

今回は、その不幸な例外の事件。

ただし、処理業者が不法投棄に手を染めると、扱う廃棄物の量が膨大なだけに、大規模な不法投棄事件に発展しがちです。

2013.10.3 13:57 産経ニュース 産廃約30トンを不法投棄 処理会社幹部ら逮捕

 産業廃棄物を無許可で保管したなどとして、警視庁生活環境課と交通捜査課は、廃棄物処理法違反容疑で、産廃処理会社「スピリット」役員、Y容疑者(44)ら3人を逮捕、法人としての同社を書類送検した。生活環境課によると、Y容疑者ら2人は「カネもうけのためにやった」と容疑を認め、1人は否認している。

 Y容疑者らは自治体などから産廃処理を請け負いながら、適切な処理をせずに下妻市内の同社敷地内に保管した後、別の空き地などに不法投棄していた。同社はダンプカーなど90台を所有し、平成23年ごろから過積載の状態で産廃の運搬を繰り返していた疑いがあり、生活環境課などは道路運送法違反(過積載)容疑でも立件する。

 逮捕容疑は9月9日、横浜市などから収集した廃プラスチックなど約26トンを無許可で同社敷地内で保管し、廃プラを含む約34トンを別の空き地に不法投棄したなどとしている。

本当にダンプカー等を90台も自社で所有していたのであれば、企業規模としてはかなり大きい部類の処理業者と言えます。

平成23年から過積載を繰り返していたということですので、企業として売上を上げることだけを重視していたものと思われます。

これは、現地確認の際の結構重要なポイントです(笑)。

記事の表現では、自治体が排出事業者として委託をしていたのか、それとも自治体が発注した公共工事なのかはわかりませんが、
いずれの場合にせよ、行為者が自主的に廃棄物を撤去しない限り、排出事業者が委託者としての責任をキチンと果たしていたかどうかについて、今後詳しく調査が行われるものと思います。

逮捕された当事者については、
現段階では収集運搬業者の社長は容疑を否認、
自治体から廃棄物処理を受託した処理業者の取締役は容疑を認めている
という状態です。

取締役が容疑を認めている処理業者の場合、法人自体に対して罰金刑が科されることになれば、その時点で法人としてはすべての廃棄物処理業の許可が取消されます。

車両を90台も所有していた会社ですので、従業員もそれだけ多く存在しているということになりますが、
廃棄物処理業の許可が取消されると、その従業員の暮らしはどうなるのか・・・

処理業者による不法投棄は失うものが大きすぎますので、冒頭で述べたように、近年では小規模なものを除いてほとんど見られなくなりましたが、この事件を「他山の石」としていただきますようにお願いします。

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