「ナカの人」による犯行

学生時代にホテルの宴会の配膳のアルバイトをしている際、下げられてくる皿には食べ残しだけではなく、手が付けられていない状態の綺麗な食材も大量に乗っていました。

腹を空かせた若者にとっては大変な御馳走に見えましたが、「食べ残しを絶対に食べてはいけない。窃盗と同じである。」と事前に教育をされていましたので、一度も手を付けることはありませんでした(笑)。

公務員は犯罪をしてはならないというのは誰にとっても常識ですが、目の前に放置された誘惑に負けてしまう人が多いのも事実です。

2014年2月4日13時29分 読売新聞 市民のリサイクル品、持ち帰り図ってバレた理由

 岡山県笠岡市は3日、市民が不用品として同市環境課に持ち込んだパソコンなど複数の電化製品を、無断で自宅に持ち帰ろうとしたとして、同課副統括(係長級)の男性職員(52)を減給10分の1(3か月)の懲戒処分にした。

 男性職員は「パソコンの部品が使えると思い、初めてやった」と話しているという。

 発表によると、電化製品はノートパソコンやカーステレオデッキ、ドライヤーなど数点で、市民が昨年10月3日午後、環境課が入っている市役所分庁舎に持ち込んだ。同日夕、男性職員が帰宅する際、同製品を入れて屋外に置かれていた段ボールを、オートバイに載せて持ち帰ろうとした。

 男性職員は帰宅中、里庄町内で車と接触し、病院に搬送された。偶然、事故現場を通りがかった同課員からの連絡を受けた別の課員が、現場に残された段ボールの中身に気づいたという。市は今年度から、使用済み小型家電のリサイクル事業を実施。これまで、市民が持ち込んだ製品が紛失したことはなかったとしている。

市が回収した不用品をこっそり持ち帰る行為が、「窃盗」あるいは「横領」に該当するかは微妙なところがありますが、少なくとも小型家電リサイクル法の理念とは間違いなくかけ離れています。

個人が出来心でした犯行の是非についてはこれ以上論じませんが、
問題の根本は上記の赤字の部分で、「市民が持ってきたパソコンがなぜ屋外のダンボールに放置されていたのか?」です。

笠岡市のHPによると、

とありますので、持込みをした人が屋外に段ボールを放置したわけではなさそうです(もし、そうしたのならば「不法投棄」に該当)。

市が回収した後で、認定事業者等に引渡しをするため、段ボールにまとめて屋外にそのまま放置したということになりそうです。

小型家電リサイクル法では、市町村に対して厳重な個人情報の管理を求めてはいませんが、
それは「わざわざ法律で義務付けをしなくとも、行政なら個人情報の取扱に十分配慮するのが当然」という常識があるためです。

個人情報を消去した上で廃棄をするのが常識とはいえ、受け取りをする自治体側の運用がこのように杜撰では、小型家電リサイクルに関する信頼性が揺らぐことになります。

出来心を起こした人の個人的犯行として片付けてしまうのではなく、
笠岡市の運用にも重大な欠陥があったことを反省し、同様の事件の再発防止に取り組むべきだと考えます。

持ち去ったのが公務員だったのは不幸中の幸いだったのかもしれません。

屋外をうろついているのは、得体のしれない無許可業者であったり、外国の情報機関であるかもしれません。

他国の情報機関が、岡山県笠岡市まで情報収集に行く可能性は非常に低いかもしれませんが、ゼロではありません。

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