今さらながらですが、不法投棄罪の罰則の確認
弁護士の方が執筆しているブログで、不法投棄に関する解説があったので流し読みをしました。
隅田川花火大会後のゴミの山が波紋…ポイ捨てで問われる罪はかなり重い
ゴミのポイ捨てについて直接的に規定してある法律は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)です。この法律では、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」とされ、
「フンフン。なるほど、そのとおり。」と、ここまでは良かったのですが、
違反した場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金とかなり重い罰則が定められています。
にのけぞってしまいました。
言うまでもなく、現行の廃棄物処理法では、不法投棄罪は
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~十三 (略)
十四 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者(投棄禁止)
第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
で、「5年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金、または併科」と、廃棄物処理法で最も重い罰則の対象です。
実際、花火大会でのポイ捨てに対する罰ではありませんが、反復継続して不法投棄をした者には、数百万円単位の罰金が科されることもありますので、罰金上限50万円では決してありません。
念のため、昭和45年の法律制定当初から不法投棄罪の罰則を調べましたが、
「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」という、中途半端な量刑だったことは一度もありません。
執筆者がこのような間違いを起こした背景としては、
現行の廃棄物処理法の第29条の「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」という部分を、不法投棄罪として誤認した可能性があります。
ただし、第29条の罰則には、不法投棄に関することが一切書かれていませんが・・・
さて、このように、法律の専門家である弁護士さんにも一般的ではない廃棄物処理法ですが、
その原因の一つには、法律改正が(以前は)頻繁に行われてきたという事情がありそうです。
今回のテーマとなった不法投棄罪一つをとっても
昭和45年制定時 「5万円以下の罰金」(←現在の感覚では隔世の感があります)
昭和51年改正時 「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」
平成3年改正時 「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」
平成9年改正時 「3年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金、又は併科」
「両罰規定の法人に対する罰金上限が1億円以下まで引き上げられる」
平成12年改正時 「5年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金、又は併科」
平成22年改正時 「両罰規定の法人に対する罰金上限が3億円以下まで引き上げられる」
と、時代の変遷、そして新たに起こった犯罪に対処するため、改正と共に罰則が引き上げられていっています。
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2014年8月11日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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