食品廃棄物に関するよくある誤解
上場企業の子会社であるためニュース報道されていますが、この手の違反は(意図的かどうかは別として)全国各地で行われているものと思われます。
2014年9月7日付 中日新聞 食品くず不適正処理で立ち入り調査 輪之内の加工工場
食品加工会社「コロワイドMD」(横浜市)が操業する輪之内町四郷の食品加工工場で、食品くずなどの産業廃棄物を一般廃棄物として処理していたことが分かった。町によると、一般廃棄物の処理費は一トンにつき約一万五千円で、産廃に比べ安価だという。町は五日、県と合同で立ち入り調査を行った。
同社は回転ずしアトムボーイや居酒屋などを展開するコロワイド(横浜市)の子会社。輪之内町の工場では主にカット野菜やカット肉を製造している。廃棄物には、食品くずのほか、野菜を入れるポリ袋なども含まれ、廃棄物処理法では、産業廃棄物として処理することが義務付けられている。
町によると、工場が業務拡大した二〇一〇年以降、町の事業系一般廃棄物の量が急増。それまで町全体で四百トン前後だったところ、十三年度は同工場からだけで年間四四四・七トンに上った。
これを受け町が今年六月に立ち入り調査をしたところ、一般廃棄物として不適切に処理していたことが発覚。是正を指導し、以後は一カ月に十五トンほど減少しているという。
同社広報は「引き続き分別の徹底を強化していきたい」とした。町の岩津英雄住民課長は「五日の調査で、まだ改善の余地はあった。今後も動きを注視したい」と話した。
事件報道を受け、9月8日付で親会社のコロワイド社が早速謝罪声明文を自社サイトで公開しています。
弊社子会社における「食品くずの不適正な処分」に関するお知らせ
産業廃棄物の「動植物性残さ」の定義に関する問題となりますが、
廃棄物処理法では、動植物性残さの発生業種を下記のように限定しています。
食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
新聞報道を見る限りでは、食品加工が主体の工場のように見受けられますが、産業廃棄物として認定された以上は、単なる加工だけではなく、食品として調理・保存する場面があったのかもしれません。
もし、野菜のカットなどの加工だけを行っている工場であれば、「食料品の製造」には当たらないので、野菜くずは産業廃棄物ではなく事業系一般廃棄物に分類されます。
※2016.12.5追記
「野菜カット工場は日本産業分類の「0999に分類されない食品製造業」に該当するので、食料品製造業になるのではないか」というご指摘をいただきました。検索してみたところ、総務省のQ&Aがヒットし、
Q:「カット野菜の製造」はどこに分類されますか?
A:
○例1:野菜を仕入れて、すぐに料理に使用出来るようにカットする場合(炒め物用やサラダ用など)→「0999他に分類されない食料品製造業」
○例2:野菜を仕入れて、キャベツを半分にカットしたり、しいたけの茎をカットするなど、軽微な加工を行う場合→「5213野菜卸売業」
とありましたので、事業の内容によっては、カット野菜製造工場でも食料品製造業に該当するケースがあります。ご指摘ありがとうございました。
言葉の遊びのように見えますが、廃棄物処理法に基づく業種限定はかように厳格なものです。
また、街角の居酒屋やレストランにおいても野菜や肉をカットし、食料品として調理をした上で客に提供していますが、
食料品を製造する事業ではなく、美味しい食品を食べてもらい、その対価として代金を頂戴するというサービス業となりますので、飲食店から発生した食品残さなどが産業廃棄物になることもありません。
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2014年9月10日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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