埋立容量超過で業許可と施設設置許可を取消し(兵庫県姫路市)

2014年06月05日付毎日新聞 成臨興業:産廃最終処分場、許可取り消し 埋め立て超過で 姫路市 /兵庫

 許可面積・容量を大幅に超えて廃棄物を埋め立てたとして、姫路市は4日、廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物安定型最終処分場(同市打越)を営む会社「成臨興業」の処分業と処理施設設置の許可を取り消した。市産業廃棄物対策課によると、市内で最終処分場の設置許可が取り消されるのは初めて。

 市が今春、産廃の埋め立て状況を調べた結果、許可面積(5万3637平方メートル)を5021平方メートル、許可容量(55万6595立方メートル)を10万6058立方メートル超えていることが分かった。容量は19%超過で10%以上増やす場合に必要な変更許可を受けていなかったこともあり、市は「重く判断した」としている。

 市は同時に許可区域外に埋め立てた廃棄物など計1万8539立方メートルを撤去・適正処理するよう改善命令を出した。成臨興業は今後、産廃を搬入できないが、処分場自体の維持管理義務は残るという。

 成臨興業は事業と処分場設置の許可を取得した1988年3月以降、操業を続けてきたが、昨年7月には区域外に廃棄物を埋めたとして、市から一部事業停止と処分場使用停止の命令を受けていた。

安定型処分場を運営していた企業が許可区域外に産業廃棄物を埋め、
それが地元住民との間で長年の紛争の原因となり、
委託者であった東証一部上場企業の山陽特殊製鋼の担当部長が委託基準違反容疑で書類送検までされるという、泥沼化していた事案。

事業者の業許可と施設設置許可は取消されましたが、ここから先の姫路市の事後収集も大変になるであろうことは明らかです。

まず、業許可などを失った事業者に、自発的な廃棄物撤去などを期待するのは非常に難しいため、
許可区域外に埋められた廃棄物の扱いをどうするかを決めねばなりません。

生活環境保全上の支障があるのであれば、行為者に措置命令を出し、それが履行されない場合は行政代執行も視野に入ってきます。

そのため、今後は
当該事業者が埋めた許可区域外のエリアで、生活環境保全上の支障が生じている、あるいは生じるおそれがあるかどうかがポイントになります。

許可区域外に埋められた廃棄物については、不適正処理がなされたことになりますので、委託者に対して措置命令が出される可能性があります。

埋められた廃棄物から、その排出事業者を割り出すのは非常に難しそうですので、実際には、許可区域外での埋立が行われた時期に、当該事業者に埋立の委託をしていた排出事業者に対して、責任追及をしていくことになると思われます。

責任追及の対象となる排出事業者のほとんどは中間処理業者になりそうですが、一部、山陽特殊製鋼社のように、排出事業者が直接最終処分の委託をしていたところもあるようです。

そこで、今回の事件から得られる教訓として

委託者の注意ポイント

  • 中間処理業者としか契約をしていない場合でも、中間処理残さの処理委託先の許可内容はよく確認すべし
  • 委託先業者が地元住民と紛争を抱えていないかをチェックすべし
  • ※「会社名」で検索をすれば、ネガティブな情報であってもすぐに現れる

  • 可能であれば、最終処分業者にも現地確認を実施した方が良い
  • 自社が最終処分委託をしていない場合でも、委託先中間処理業者に、「最終処分場に対して行った現地確認記録を見せてほしい」と依頼すべし

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