岩手県が廃油撤去の行政代執行を実施

岩手県が、中間処理業者が放置したドラム缶を行政代執行で撤去したとの報道がありました。

2014年9月30日 NHK 「花巻の産廃で県が行政代執行」(筆者注:既にNHKのサイトからは画像が削除されていますので、リンクはいたしません)

花巻市の土地に放置されたままになっている廃油などが入ったドラム缶およそ280本について、岩手県は放置した会社が撤去する意思がないと判断し、会社に代わって廃棄物を撤去する行政代執行を始めました。
この問題は平成19年に、青森県十和田市の廃油のリサイクル会社「コーミックスジャパン」が花巻市湯本の土地に廃油や汚泥の入ったドラム缶およそ280本を放置し、一部から廃油が漏れていたことが明らかになったものです。
岩手県は5年前の平成21年、会社側に対してドラム缶を撤去し、適切に処理するよう命令を出しましたが、会社側が応じませんでした。
このため、県は、会社に命令に従う意思がないと判断し、30日から廃棄物処理法に基づいて会社に代わって廃棄物を撤去する行政代執行を始めました。
この問題をめぐっては、岩手県がことし3月、撤去に応じない会社と社長を廃棄物処理法違反の疑いで刑事告発していて、30日はあわせて警察による現場検証も行われました。
県は、ドラム缶の搬出作業を10月末までに終わらせ、秋田県大館市の処理工場で順次処理する予定です。
資源循環推進課の大泉善資総括課長は「ドラム缶の腐食が進み、中身が流出する恐れがあったので、今回の措置をとった。現時点で会社側と連絡がとれていないが、所在が分かり次第、撤去費用を請求したい」と話しています。

撤去命令発令から5年間を経過し、ドラム缶の腐食が進んできたために、急きょ行政代執行をせざるを得なくなった状況のようです。

廃油や汚泥のドラム缶を放置した「コーミックスジャパン」なる法人を検索してみると、
青森県からの補助金詐取容疑で、2009年2月に社長が逮捕された前歴があるようです。

本当に同社が中間処理業の許可を持っていたのかどうか、あるいは許可が取消されたのかどうか等の、具体的な情報が検索しても出てこないため、
以下は、コーミックスジャパンがドラム缶を置き始めた2007(平成19)年に適切な中間処理業の許可を持っていたという前提での話となります。

排出事業者の方の場合、このようなケースで措置命令の対象になるかどうかが不安に思うところと思います。

今回の場合、
廃油処理を委託していたのに、7年間も未処理のまま放置をされ続けてきたわけですから、委託者の排出事業者責任の果たし方が適切だったかどうかは、今後厳しく追及されることになりそうです。

具体的には、

1.マニフェストD票やE票は返送されていたのか
2.上記のマニフェストの記載に不審な点は無かったか
3.「1」「2」で不具合があった場合、委託者の責任として適切な措置を取り、自治体に「措置内容報告書」を提出していたかどうか

がまず問題となり、

その他、委託の方法や委託契約書の記載に不備が無かったかも調査の対象となります。

今回のようなケースでは、明らかに産業廃棄物が未処理のまま放置されていますので、委託者には上述したマニフェストに関する違反のどれかが発生していることになります。

その結果、委託者の責任を適切に果たしていなかったことになり、措置命令の対象となる可能性が高くなります。

※行為者が最終処分場所をE票に記載(虚偽ですが)した上で、委託者に返送しており、マニフェストに何ら疑わしい点が無かったのであれば、委託者に落ち度は無かったと判断される余地はあります。

どのようなリスク回避策が必要か

行政代執行が行われた後においては、リスク回避を行うことは不可能となりますので、日々の産業廃棄物処理取引の際にリスク回避を行っていくしかありません。

一番基本となるのが、「日々返送されてくるマニフェストの確認」

・契約どおりの方法で処理されているか
・再委託されていないか
・処理終了年月日に不審な点は無いか

等をすべてのマニフェストに対して確認しておく必要があります。

といっても、「契約相手が誰か」「契約内容はどうなっているか」さえ頭に入っていれば、上記のチェックは別に難しくありません。

しかし、これを意識しながら効果的なチェックを行うことで、将来背負うことになるリスクを非常に小さくする、あるいはリスクに発展する前に事態を収拾することができます。

次に重要なのが、「委託契約書の法定記載事項」

適切な契約とは、「法定記載事項を網羅した委託契約書の作成・保存」に他なりませんので、それを愚直に行い続けるしかないというのが真実です。
keiyaku

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