廃棄物処理の試験研究をしたい場合

dr他社との差別化や、機器製造メーカーや大学との共同研究という理由で、一時的に産業廃棄物処理の試験研究を行いたい場合でも、産業廃棄物処理業の許可取得は必要なのでしょうか?

一定の条件をクリアできる試験研究ならば、環境省は「産業廃棄物処理業の許可や産業廃棄物処理施設設置許可は不要」と文書(平成18年3月31日付環廃産発060331001号)で通知しています。環境省が通知で示した許可不要となる試験研究の条件は、下記の5点です。

平成18年3月31日付環廃産発060331001号「第二 産業廃棄物を使用した試験研究に係る規制について」

(1) 営利を目的とせず、学術研究又は処理施設の整備若しくは処理技術の改良、考案若しくは発明に係るものであること。

(2) 試験研究の期間は試験研究の結果を示すことができる合理的な期間であり、取り扱う産業廃棄物の量は、試験研究に必要な最小限の量であり、かつ試験研究の結果を示すことができる合理的な期間に取り扱う量であること。この点について、都道府県知事は当該試験研究を行う者が試験研究と称して不正に廃棄物処理を行うことがないよう厳格に指導すること。特に試験研究の期間については、期間を区切って試験研究の結果を確認する等の措置をとり、試験研究を行う上で最も短い期間になるようにすること。

(3) 試験研究については、法第12条の処理基準を踏まえ、不適正な処理を行うものではないこと。試験研究に使用する施設については、法第15条の2第1項各号等を踏まえ、生活環境保全上支障のないものであること。また、試験研究の目的、期間及び投資額等から、不正な産業廃棄物の処理が行われないよう特に厳格に審査を行うべきである。

(4) 試験研究という性質にかんがみ、同様の内容の試験研究が既に実施されている場合には、その試験研究の結果を踏まえ、当該試験研究の実施の必要性を判断し、主として不正な産業廃棄物の処理を目的としたものでないことが確認できるものであること。

(5)試験研究に必要な期間を超えるもの、必要な量を超える廃棄物の処理を行っているもの、不適正な処理が行われている等、計画に従っていない不適正な状態が判明した場合には、告発等の速やかな対応を行うことが適切であること。なお、試験研究と称して産業廃棄物を処理しているような場合は当然無許可営業等に該当するものであること。

と、「試験研究を行う上で最も短い期間になるようにすること」などと、なかなかお節介な条件がつけられていますが、本当に期間限定で廃棄物処理技術の試験研究を行いたい場合は、知っておいて損は無い通知です。

なお、上記の5つの条件を満たす試験研究だからといって、行政に相談することなくプラントを設置し、産業廃棄物の搬入等を始めてしまうと、行政からすると無許可営業をしているようにしか見えませんので、試験研究を開始する前に行政に相談をしておく必要があります。

環境省も上記の通知の中で自治体に対し、「あらかじめ、都道府県知事が試験研究を行う者に対して、当該試験研究の計画の提出を求めること。」と、事前に試験研究計画を審査するように求めています。

実際に行政に相談する際には、法律や規則で決められた申請様式などはありませんので、「試験研究期間」「プラントの撤去時期」「試験内容」「処理する産業廃棄物の種類」「処理予定の産業廃棄物の量」などをわかりやすく説明する資料を用意し、何度か行政に足を運んで協議をするしかありません。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ