各地で牙をむく負の遺産

ここ1月間だけでも2件の行政代執行事件がありましたが、新たに新潟県でも20年前に不法投棄された廃棄物を行政代執行で着手する運びとなります。

2014年10月25日付 新潟日報 県、行政代執行で産廃撤去へ 上越・名立区 ドラム缶など2200本

 県は24日、上越市名立区谷口の作業小屋に約20年間放置されている汚泥や廃油などの産業廃棄物が入ったドラム缶(約200リットル)約1200本と一斗缶(約18リットル)など約千本を27日から行政代執行により撤去すると発表した。

 県によると、小屋は山中にあり、1990年代初めごろ、上越市の有限会社日本クリーン環境が鶏ふん肥料製造の作業場として利用。事業停止後、貸し出していた。汚泥や廃油は1994から95年に運び込まれたとみられるが、搬入者は不明で、県が調べている。

 地域住民が2011年8月、県に通報し発覚した。県はことし5月、所有者の日本クリーン環境の代表に撤去するよう措置命令を出したが、従わなかった。小屋の老朽化やドラム缶の腐食が進んでいるため、内容物が流出する恐れがあるとしている。

 処分の完了は来年3月16日の予定。撤去費用約8千万円は当面、県が立て替え、所有者に請求する。

 県廃棄物対策課によると、県内で産業廃棄物の行政代執行は今回で13例目。小屋は近くの集落から約1キロの距離にある。

20年前からの不法投棄で、なおかつ汚泥や廃油の入ったドラム缶ということになると、排出事業者の痕跡を示す証拠がほとんど無いため、委託者を探し当てることは非常に困難です。

また当時は、特別管理産業廃棄物以外にはマニフェストの運用義務がありませんでしたので、マニフェストや契約書の線から委託者を洗い出すのも困難と思われます。

事実上、撤去費用の8千万円のほぼ全額は回収の見込みが無いものと考える必要がありそうです。

「大規模な不法投棄事件が減少した」というのが、環境省や自治体の公式見解となっていますが、それは「現在進行形の不法投棄が減った」という意味であり、
今回の報道のように、行政が存在を認識していない過去に行われた不適正処理案件が続々と顕在化する時期に入ったように思えます。

委託者の立場としては、委託基準に即した手順と方法で処理委託をしておけば、万が一不適正処理に巻き込まれたとしても無事に切り抜けられる可能性がありますので、日々のマニフェストの確認や契約書の内容のチェックなどが極めて有効な防御策となります。

そのような防御策について、山口県主催の無料セミナーでは実例を交えてお話しますので、お近くの方は是非ご参加ください。

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