元請業者が不法投棄を指示か(三重県尾鷲市不法投棄事件)

2015年2月5日 中日新聞 尾鷲の中学の廃材、不法投棄 元解体業者を逮捕

 三重県尾鷲市の輪内中学校の校舎改築工事をめぐり、旧校舎の基礎部分や廃材を撤去せずに埋めたとして、三重県警は4日、廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで、同県松阪市久保町の解体業者「大成産業」の元従業員、S容疑者(52)を逮捕した。

 逮捕容疑では、2013年10月7日から31日の工事期間中、旧校舎の基礎コンクリート部分や建設廃材など557トンを校内に捨てたとされる。

 県警によると「捨てたのは間違いない」と容疑を認めている。S容疑者は、同社が下請けとして請け負った校舎の解体作業の現場責任者だった。

 廃材の投棄は、工事完了後に市民の通報で発覚。工事契約では基礎部分を撤去することになっていたが、鉄筋3階建ての新校舎に隣接する旧校舎跡地の地中を掘り返したところ、基礎コンクリート部分や浄化槽などが見つかった。

 尾鷲市は昨年4月、悪質な手抜き工事だったとして、大成産業と元請けの建設会社「K組」、建設会社「M建設」の3社を尾鷲署に刑事告訴。県警はずさんな工事の実態解明を進めていた。S容疑者が元請け業者の現場責任者などから指示を受け、組織ぐるみで犯行に及んだ疑いもあるとみて捜査している。

少し古いニュースになりますが、ブログ再開の第1弾目の記事として取り上げます。

建設廃材557トンの不法投棄というのは、近年発覚した事案の中では珍しく大量の不法投棄となります。

建物の基礎部分を撤去するはずだったところをそのまま埋めるというのも、最近では珍しい大胆な手口です。

しかも、新聞報道では、元請の現場責任者が不法投棄を指示した可能性が示唆されていますので、すべてにおいて珍しい不法投棄事件です。

廃棄物処理法上は、発注者には産業廃棄物の不適正処理に関する責任がかかってきませんが、
今回は尾鷲市の発注工事であるため、発注者としての尾鷲市が、不法投棄を指示するような元請と契約をした責任が問われることになりそうです。

公共発注工事の場合、産業廃棄物の処理完了の証拠として、マニフェストE票のコピー等の提供が求められますが、
500t超という大量の産業廃棄物処理をマニフェストで誤魔化すのは、共謀した中間処理業者がいない限り、かなり大変です。

発注者として尾鷲市の契約管理事務が適切であったかどうかの検証が必要と思われます。

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