事実公表タイミングの重要性

事実が曖昧なままで事態を公表するのは避けなければなりませんが、
事実を把握しているのに、他の組織の動きを待ってからそれを公表するというのもよろしくありません。

2015年2月18日付 千葉日報 新庁舎予定地からPCB 市、昨夏把握も公表遅れる 浦安

 浦安市は17日までに、同市猫実1の市役所庁舎に隣接する新庁舎建設予定地から有害物質のポリ塩化ビフェニル(PCB)が検出されたと発表した。不法投棄されたコンデンサー(蓄電器)から漏れ出したとみられる。千葉県から土壌汚染対策法に基づく汚染区域の指定を受け、市は汚染土壌の搬出を始めた。汚染区域では工事が中断しており、来年度末の完成がずれ込む可能性が出てきた。昨夏に検出を把握しながら公表が半年後となった理由について、市は「汚染区域が確定してから公表しようと思った」としている。

 市によると、昨年7月、建設予定地の地盤改良などを行うための試掘作業中、深さ約3メートルの地中から1960年代に製造されたコンデンサー2基が見つかった。PCBを含む絶縁油が使用されていたことから、8月に土壌を調べたところ、土壌汚染対策法の基準(不検出)を超える1リットル当たり最大0・025ミリグラムのPCBが検出された。

 市の届け出を受け、県は先月30日付で周辺の22平方メートルを汚染区域に指定。市は同区域の土壌142立方メートルを富山県の処分場に搬出する。

 市は、市有地となる前にコンデンサーが不法投棄されたとみており「40年間以上地中に埋まっていたと思われるが、汚染範囲は限定されており、人体への影響はない」(庁舎建設課)としている。ただ、新庁舎に設置予定の防災用井戸は、同法に基づき飲料水以外の用途に変更する。

 昨年8月にPCBの検出を把握しながら、公表が遅れた理由について同課は「汚染区域が確定してから公表しようと思った」としている。

 新庁舎は地上11階建て。1974(昭和49)年建設で、40年以上が経過した現庁舎の老朽化などを理由に昨年7月着工した。来年度末の完成を目指しているが、汚染区域では工事が中断しており、同課は「完成時期がずれ込む可能性がある」との見通しを示した。

PCBによる土壌汚染の事実を把握後、半年間もそれを公表しなかったというのは、浦安市の失態と言えましょう。

最近ではかなり減りましたが、15年ほど前なら、各地で工場からの地下水汚染が問題となったことがありました。

その際にも、「県に地下水検査が終わってから公表しようと思っていた」という言い訳を多くの工場側がしていたため、大きな批判を受けたのが記憶に新しいところです。

人間ですので、不都合な事実を公表したくないという心理的情動は誰にもあるものですが、
そこを理性の力で押し切り、把握している事実を適時に公表しないと、それ自体が新たなリスクになる
という実例ですね。

PCB入りのコンデンサーが捨てられたのが40年以上前のようですので、
投棄されたこと自体には浦安市の過失はほぼ無いと考えられますので、
汚染事実の適切な、かつ適時の公表さえしておけば、もっと事態は小さいうちに収束できたはずです。

環境汚染に関する情報は、それがどんなに小さいものであっても、できるだけ早く、確実な情報を自発的に出していくのが最善と言えます。

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