権力に不可欠な自制心

当ブログ 2014年3月17日付記事 「愛知県に対し12億円の損害賠償命令(名古屋地裁)」の続報です。

愛知県が行った産業廃棄物処理施設設置許可が不当だったため、事業者に対し愛知県が13億8600万円の和解金を支払うことになりました。

2015年2月20日 時事通信 愛知県、13億円支払いへ=産廃施設許可取り消しで-名古屋高裁

 産業廃棄物処理施設の建設後に設置許可を不当に取り消されたとして、名古屋市のパチンコ店運営会社「名成産業」が愛知県に損害賠償を求めた訴訟は20日までに、名古屋高裁で和解が成立する見通しになった。県は補正予算案に和解金13億8600万円を計上した。
 一審では昨年3月、名古屋地裁が「許可取り消しは著しく妥当性を欠く判断だった」と認定し、県に建設費用など約12億3000万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

もちろん、廃棄物処理法違反の操業を継続している処理業者に対しては、厳格かつ迅速な行政処分を下すことが重要です。

しかし、処理業者の生殺与奪につながる行政処分を下す以上、その処分には「法的な処分理由」と「違反事実」の両方が不可欠となります。

今回の訴訟のきっかけとなった愛知県の産業廃棄物処理施設設置許可は、残念ながら、その両方を欠いていたと言わざるを得ません。

最近、法律の条文やそれの一般的な解釈を顧みることなく、いたずらに威勢の良い許可取消処分が増えているように思います。

不適正処理実行者には、そのような厳格な姿勢で臨むことが不可欠であることは先述したとおりですが、
「疑わしきをすべて罰する」ことが、行政に求められているわけではありません。

「欠格要件に該当した場合」なら、許可取消が行政の義務である以上、そこに判断をさしはさむ余地は有り得ませんが、
「許可取消が義務ではない」ケースの場合は、廃棄物処理法違反の内容や悪質性を慎重に検討する必要があります。

行政処分という紛れもない権力を行使する立場の方は、今一度、自己の行為(行政処分)の正当性を法律的に根拠づけられるかどうかをご確認いただければと思います。

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